サクマとサクマ式は別物? 缶の色に隠されたドロップスの謎

 

サクマ式ドロップスとサクマドロップス。缶の色もサクマ式の方は赤色式の字のないサクマの方はミドリ色。サクマ式の方には最高級と登録商標という文字も。またサクマドロップスには高級という文字のみ。また会社のあるところは、佐久間製菓は池袋に、サクマ製菓の方は恵比寿

 「お菓子帖」の作者の綱島さんは、ひょんなことから女性編集者と、このサクマのドロップスの缶の色は赤かミドリかで電話でのやりとりというか口論になり、このドロップスの秘密を探ることになったというわけである。 

綱島さんが、その二つの会社を取材などしてわかったのはこうである。二つの会社は戦前は一つの会社サクマ製菓だった。戦争が激しくなり砂糖の供給も止まり、のどかなドロップなんて戦争に何の役にも立ちそうないものを作っている会社は解散せざる得なかった。 

戦後、会社再建。ところが気がついたら全国にサクマ製菓を名乗る会社が五つほど出来ていたということだ。が、自然淘汰されて今のニ社が残り、当然のように訴訟で争いに。 結局、裁判の結果、池袋の会社がサクマ式の登録商標を獲り、 恵比寿の会社に元の会社名のサクマ製菓の表記が認められた。

菓子の業界では、この二つのドロップ缶のことを赤缶、青缶とよんだそうだ。だが時代がたって、今では業界の中の人でも、この二つのドロップが、別の会社で製造されていることを知らない人も多いのだという。

またわかったことは、 恵比寿のサクマ製菓は戦前の社長の息子が起こした会社、池袋の佐久間製菓は番頭が作った会社という。

なお、サクマ式ドロップスというのは、明治41年東京の佐久間惣次郎商店から発売されたドロップ。それまでのよどんだ色、品質の悪い、夏になると溶けだすやっかいな点をすべて改良し、夏になっても溶けず、酸味料を入れることによって、透明感のある今のようなドロップを作り上げた。これを世間ではドロップのサクマ式製法と呼んだという。

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団塊の世代以上には懐かしい郷愁の食べものたちをこよなく愛おしむエッセイです。それは祭りや縁日のアセチレン灯の下で食べた綿飴・イカ焼き・ラムネ、学校給食や帰りの駄菓子屋で食べたクジ菓子などなど。

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【著者】 UNCLE TELL 【発行周期】 月刊

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