というわけで、じゃあどのようにこの「わがまま」を使って人間関係を構築すれば良いのか? です。
人間関係は与えてばかりの一方通行では成り立ちません。双方が交流し、交通する事でその関係は太く有機的な物へと育って行きます。そんなバランスの良い人間関係の中では、互いが我を通したりわがままを言う事も必要です。しかしながらこの「わがまま」には良い物と悪い物がありまして、まぁどちらにせよ人間関係構築には一役買うわけですが、その線引きは知っておくべきでしょう。
悪いわがままは一般的なわがままのイメージで、自分の感情に任せて相手に注文を押しつける事です。そして良いわがままとは自分も相手も進化、前進の方向へ進む為に自分の主張を通したり、情熱をもって体当たりでぶつかって行く事。そんなわがままは時に厚かましさがあっても許されます。
そんな意味では下記お伝えする話しの主人公は「悪いわがまま」の典型例なのですが、正直そのパワーはそんな善悪を完全に超越しているので今回取り上げてみました。
今回私が「あ、わがままって人間関係作りの道具になるんだな」と思ったきっかけは、介護職をしている私の母が読んでいた本がきっかけです。その本はある障害者の一生を書き綴ったノンフィクション作品で、ボランティアの現場のリアルな人間模様がまざまざと描かれています。そのタイトルは、『こんな夜更けにバナナかよ』。もう10年以上前の本ですが、数々のノンフィクション賞を受賞している作品なのでクオリティは折り紙つきです。
この本の主人公は筋ジストロフィを患っていてベッドに寝たきりなんですが、「わがまま」を使って多くの人を動かし生き続けます。そのわがままぶりを一言で表したのがこのタイトルですが、これはある介護者がその寝たきりの主人公に深夜に叩き起こされて、何事かと思ったらバナナを立て続けに2本要求されたというエピソードから生まれたタイトルなんですね(笑)。