怒れるトランプ大統領が、北朝鮮に強く当たれない5つの理由

 

ではその「外交的解決」として具体的には、何が考えられるのでしょうか?

具体的には経済援助となるわけですが、金正恩のメンツを潰さないようまず「制裁解除」、そして「技術援助を含む経済特区設置」であるとか「エネルギーと食糧の包括的な供給パッケージ」などと言った名目が考えられます。引き換えに核放棄を迫る以上、硬軟両面からの大胆なアプローチとなるのではないでしょうか。

勿論、90年代のKEDO合意、つまり核放棄の代わりに軽水炉技術を供与という枠組みも、2000年代の合意もどちらも破綻しているわけで、交渉は簡単ではないし、仮に合意ができたとして実行し、維持し続けるのには困難が伴うでしょう。

ですが、いくら鎖国をしているとはいえ、90年代、2000年代とは比べ物にならないレベルで、西側の情報、そして繁栄する中国の情報は北朝鮮社会に浸透していると思われます。そう考えると、経済的な「制裁解除+支援」というものがなければ、政権は早晩行き詰まるわけで、考えてみれば、その内部崩壊の危険を「ゴマかす」ために「核開発で国威発揚」などというバカなことが行われているわけです。外交的あるいは経済的解決というのは、そんな中で、十分に効果的であると考えることが可能と思われます。

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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