日本とは違う意味で過酷?「AO入試の本場」アメリカの受験事情

 

 多角的な要素からの評価

アメリカの各大学は、試験会場を用意して受験生を集めることはありませ ん。出願は全てネットで行われ、通常は以下の5つの要素について情報や資料を送ることになります。

(1)高校の内申書(トランスクリプション)。具体的には学年別、科目別の 成績表。

(2)SAT・ACTなど全国統一テストの成績。

(3)履歴書。スポーツや芸術の活動、課外活動、ボランティア経験など。

(4)推薦状。学校の先生や、スポーツ指導者などに依頼して書いてもらう。

(5)エッセイ。大学別に指定されたテーマに関してエッセイを書いて提出する。

その他に芸術専攻の場合は、自分の主要作品のポートフォリオを提出します。音楽や演劇専攻の場合はオーディションがある場合が多いです。また、ア イビーリーグ加盟校など、少数精鋭の名門校の場合は、基準点以上の学生には 研修を受けた同窓会員などによる面接試験が随時実施されることになっています。  

内申書は大変に重要

では、入試の判定において最も重要な要素は何なのでしょうか? それは 「内申書」だということになっています。この点は日本とは大きく事情が異なります。日本の場合は、推薦入試はともかく、一般入試の場合は合否に占める 内申書の割合は少ないわけです。せいぜいが「足切り」に使うか、卒業見込み であることの確認の意味ぐらいしかないのです。  

だが、アメリカの場合は違います。主要な科目の成績を点数化したもの、つ まりAなら4点、Bなら3点、という点数をつけて、その「全平均」を出した GPAという数値が極めて重要視されるのです。  

もう一つの学力データである統一テストのスコアとの関係でも、明らかにGPAの方が重要とされています。統一テストが満点近い一方でGPAのダメな 学生と、GPAは良いのですが統一テストがダメという学生を比較した場合、 前者はほぼ絶望的(超高校級の天才性が証明できるならともかく)である一方 で、後者の場合は可能性は十分にあると言われているぐらいです。  

いずれにしても、日本のように受験に専念しているから高3の成績は重要ではないとか、そもそも学校では寝ていて予備校で難問に取り組んでいるといった光景はアメリカでは全くあり得ません。  

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