現役医師が指摘。沖縄県民の「肺がん死亡率」が高い意外な理由

 

基地労働でのアスベスト曝露

しかしながら、その後も、沖縄にある米軍基地内の建築物には大量のアスベストが使用されていました。私は1988年に医学部を卒業して、沖縄県立中部病院に約15年勤務していましたが、肺がんが異常に多いことを医師の多くが認識していました。

戦後の沖縄では、米軍基地からのタバコ配給があり、男性のほとんどが喫煙者になりました。しかもその頃は、「タバコは健康に良いので、健康増進のためにタバコを吸いましょう」という、びっくりするようなタバコ会社の宣伝もあったのです。

そのため、沖縄に肺がんが多いのはタバコの吸い過ぎのせいかとも思っていましたが、悪性中皮腫というがんも多かったので、何かおかしいと思うようになりました。沖縄の人々が特別な環境に晒されることによってアスベストに曝露していたのではないかと思うようになりました。

そしてとうとう、2014年に28人の日本人基地労働者アスベストによる健康被害でやっと日本政府の認定を受けることができました。ただし、その時点で既に12人は死亡した後でした。これは、氷山の一角とまで思われています。

print
いま読まれてます

  • 現役医師が指摘。沖縄県民の「肺がん死亡率」が高い意外な理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け