ドラゴン桜の指南役が遭遇した、消極的な子を変えた「親の姿勢」

 

バザーで小物を売りまくる

しばらくして、新しい担任の先生に「どう、あの子絵を描いてる?」と聞いてみました。すると、「絵なんてぜんぜん描いてないよ」という返事でした。私が「え、描いてないの? じゃあ、何してるの?」と聞くと、「休み時間は友達と手芸ばかりやってるよ。毎日いろいろ一生懸命作ってるよ」とのことでした。

私は「やっぱり子どもだなあ」と思いました。子どもは飽きっぽいところがあるからです。でも、それでいいのです。好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持ってやってみたくなるのが子どもなのです。

一時期熱中したことは次に生きるからムダではありません。絵のことで自信がつき、友達も増え、それから今度は毎日手芸に熱中している、すばらしいことです。もちろんお母さんも手芸のことを応援してくれました。

そして、彼女は小学生新聞を読んでいたので、その記事から手芸をPTAバザーで売るというアイデアを思いつきました。それで、友達を誘ってPTA役員さんに頼みに行きました。「ぜひやってください」ということで許可を得て、バザー当日は「いらっしゃい。いらっしゃい」と言いながら手芸の小物を売りまくりました。そして、その収益金を福祉団体に寄付したのです。

全部彼女がリーダーになって実行しました。数年前なら考えられないことでした。これくらい子どもというものは変わることがあるのです。

自己肯定感と自己実現力がつく

その変化の第一歩は、お母さんが大好きな絵を応援してくれたことです。そのおかげで絵について深めることができ、自信がついたのです。

何事もそうですが、子どもは何か好きなことがあっても、親の応援がないとそれを深めることができません。必要な物も買えないし、情報も得られないし、体験もできません。ですから、他のことよりちょっと好きで終わってしまうのです。

親の応援があると、好きなことをどんどん深めることができます。そして、「これは自信がある。これなら誰にも負けない」と思えるようになります。こういうものが1つでもできると、子どもは自分に自信を持てるようになります。すると、他のことでもできそうな気がしてきます。つまり、自己肯定感が持てるようになるのです。

また、好きなことを応援してあげると、子どもの自己実現力がつくというのも大きなことです。つまり、自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどんやっていく力です。

この女の子は、絵や手芸に熱中することを通して、自分がやりたいことをどんどんやっていくことの楽しさを味わったのです。それで、彼女は6年の後半には自ら立候補して児童会の役員にもなりました。

このように、自己実現の楽しさを味わった子は、自分でやりたいことを見つけてどんどんやっていけるようになるのです。

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