この妻は、一応婚姻期間中の中である平成8年5月から平成20年3月までの厚生年金記録で今の老齢厚生年金40万円貰ってますよね(上記に記載)。まず何をするかというと、この婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録を合算します。つまり、
- 元夫100万円+元妻40万円=140万円
この140万円を最大半分(50%)分ける。半分とすれば70万円になりますよね。ということは…元妻の老齢厚生年金は40万円から30万円アップの70万円になるという事です。30万円の老齢厚生年金を分割してもらったという事ですね。よって、離婚分割後の年金総額は老齢厚生年金70万円+老齢基礎年金50万円=120万円(月額10万円)となる。
一方、元夫は婚姻期間中で算出された老齢厚生年金100万円が70万円に減額され、老齢厚生年金合計額は独身時代の20万円の老齢厚生年金と離婚分割後の70万円と老齢基礎年金720,852円=1,620,852円(月額135,071円)になるという事です。ザックリこんな感じという事を覚えておいてくださいね~!
なお、離婚分割による年金額の変更は離婚した時からではなく、あくまで「離婚分割を請求した月の翌月からの変更」となる。
※注意
今回の事例は夫婦ともに年金受給者でしたが、別に受給者でなくとも年金記録を分割できる。分かりやすくするために両者を年金受給者としました。
例えば、この夫婦は平成30年9月に離婚しますが、離婚分割請求を平成31年3月に行った場合は、平成31年4月分の年金から年金額が変更される。
ただし、離婚分割は原則として離婚日の翌日から2年以内に行う必要がある。離婚は、協議離婚、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚、判決離婚の6種類がありますが決着つくまで相当な時間がかかる事があるので気を付けましょう。なお、審判とか調停で時間かかって判決がその2年を超えても認められる例外はある。
というわけで、簡単に計算するとこんな感じですが、注意点や正式な計算はかなり緻密な過程を踏みますので、その件に関しては今週からの有料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座Next(有料版)』にて2~3回に分けて特集します。
離婚分割は元配偶者との合意により分割の割合を決める「合意分割」と、元配偶者の合意なんて問答無用に一方的に50%の割合を分割する第三号分割(三号分割は平成20年4月以降の期間で、平成220年5月1日以降の離婚に限る)があります。
まあ、合意分割の95%以上の人は今回の事例のように50%の割合で決着してますけどね。
離婚分割はほとんどの人は計算過程見ると吐きそうになりますが、実際は結構面白いんですよ! 離婚は面白くないかもしれませんが…(笑)。
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