米ロ首脳会談は大失敗。「影の政府」を激怒させたトランプの末路

 

習近平の受難

8月に現役と歴代トップの人たちが集まる北戴河秘密会議で、今後の方針や人事などが決まることが多い。今年は、米中貿易戦争になり、今後の中国の方針と人事で紛糾しそうである。

特に習近平国家主席に権力が集中し、個人崇拝の行き過ぎがあり、これに対して、国民や米国からも大きな批判を受けている。中国の強大化、覇権国化などの中国の夢を掲げて、習近平国家主席は権力を取ったが、この見直しを迫られることになりそうである。

中国の国家戦略を担当している王滬寧常務委員の辞任は避けがたいようであるが、中国の体制も大幅に変革して、経済は李克強首相に戻し、そして集団指導体制に逆戻りで総書記の任期も2期までとなる可能性もある。

中国が米国の要求を飲む可能性もあるが、米中貿易戦争に対しては習近平の強行突破の方針になるかもしれない。それには理由がある。

中国のドルヘッグ制破棄か?

米中貿易摩擦で人民元を1ドル=6.8元まで人民元安に誘導して、米国の関税を相殺しようとしているが、この結果、ドル債務返済が難しくなっている。これにより、トランプ大統領は通貨戦争を引き起こした。ドル高修正に向けて米国も動き始めている

このような状況を踏まえて、中国はドルヘッグ制で、人民元の価値を維持しているが、米国への輸出ができなくなると、ドルヘッグ制は意味をなさなくなる。対ドルでの価値を維持して、中国への投資を呼び込むことでドルヘッグ制にしたが、中国への投資は激減するためだ。

世界第2位経済大国の中国のドルヘッグ制で、ドル基軸通貨制度も安定していたが、それを失くし、イランの原油を人民元だけで買うことになると、原油取引でのドルの位置づけも変化する。2重の意味でドル基軸通貨制度が揺らぐことになる。

中国は欧州への鉄道貨物便を去年より80%以上も増やして、米国から欧州に輸出先・輸入先を変更している。これにより、ドルよりユーロの方が良いことになる。経済関係で中欧の一体化が進んでいる。

そして、ドルヘッグ制を止めると、米国債を売却できることになる。ドル資金を放出してもよいことになる。米国債の金利上昇などにつながる。

このため、トランプ大統領は、中国だけではなく欧州も貿易戦争の敵にしている。通貨戦争も中欧に対してだけではなく、円にも影響が出る。

もう1つが、対米貿易もなくなり、企業債務のデフォルトが多発して、金融機関倒産などの金融パニックになる可能性も出てきた。すでに、フィンテックP2P金融の多くが倒産して、投資した資金が返済されないという事態が起きている。

米評論家は、その内大手の金融機関が倒産すると言うが、人民銀行は大手銀行の資金繰りを助けるので、金融パニックは起きないと中国の金融当局はいう。大手国有企業のドル債務デフォルトも人民銀行が肩代わりする可能性もある。ドル切り崩しの一貫で出来るからだ

人民元の通貨量が大幅に増えるが、海外での人民元の信用力がついて、通用し始めている。しかし、それでもインフレが加速することになる。よって、中国では貯金は、大きく目減りする資産なので投資をして保全しないといけない。このため、ベンチャーが多く出現し、急速なイノベーションが起きている。しかし、景気後退が起きるとベンチャーは倒産して投資した金は戻らない

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