薄利多売からの脱却
一方で、HISは脱「薄利多売」となる事業構造をつくり上げようともしています。高い利益率を誇る「ハウステンボスグループ事業」と「ホテル事業」を育て上げることで旅行事業の薄利を補い、グループ全体で高い利益率を実現させたい考えがあります。
ハウステンボスグループ事業では長崎県佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」の運営が事業の核となっています。ただ、近年のハウステンボスは入場者数が伸び悩み、力強さを欠いています。一方で、電力小売事業を展開するHTBエナジーなどハウステンボス以外の事業が成長していることもあり、ハウステンボスグループ事業は順調に拡大しています。
ハウステンボスグループ事業の17年10月期の売上高は367億円と構成比は6%にしかなりませんが、営業利益率は21%にもなります。営業利益の額に関しては旅行事業の99億円の8割弱の水準となる76億円をも稼ぎ出しています。利益を確保する上において、同事業は大きな役割を果たしているのです。
ホテル事業も利益率の高い事業となります。ロボットが受け付けなどをするホテル「変なホテル」を展開していますが、17年10月期の営業利益率は9%と旅行事業よりも高い利益率を誇っています。売上高は81億円と構成比は1%にすぎませんが、今後の成長が期待でき、将来的には利益の面での貢献が期待できそうです。
HISでは旅行事業以外の事業が育ってきています。ただ、今回のハワイ挙式ツアーのトラブルが水を差す形となりました。全事業を円滑に推進していくためにも、誠実な対応が求められているのではないでしょうか。
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