歴史作家が語る、武田信玄の人を見る目の確かさと「適材適所」

 

童門 「もう1つ挙げれば、武田信玄の人間を見る視点ですね。信玄は子供たちに軍談を聞かせるのが好きで、その時の反応を見るんです。そうすると4通りに分かれる。1人は話の内容に驚いて口を開けっ放しにして聞いている。2人目は信玄の顔を見ないで肩の辺りに視線を据えて聞いている。3人目は信玄の顔を見て、時々『ごもっともです』と頷いている。4人目は話の途中に『ちょっと厠に行ってまいります』と言って席を立っていなくなってしまう。

最初の子供は肝が小さくて話に圧倒されるタイプ、3人目は相手に気を取られて話の中身に意識が向いていないタイプ。4人目は自分にも思い当たるフシがあっていたたまれなくなるタイプ。それで信玄は一番頼りになるのは2人目の肩の辺りに視線を据えて聞いているタイプだと考えるんです」

三戸岡 「なるほど」

童門 「ただ、信玄が偉かったのは、4つのタイプをそれぞれに見合う使い方をしていることです。いわゆる適材適所ですね。臆病者として知られる岩間大蔵左衛門は合戦に行くのが絶対に嫌だった。馬に乗せても自分から落ちちゃう。そこで信玄は拠点である躑躅ヶ崎館の留守番を命じるんです。信玄が合戦から帰ると、館中がピカピカに磨かれていてどんな人間にも使い道があると思ったといわれていますが、これもなかなかいい話だと思います。

image by: shutterstock

致知出版社この著者の記事一覧

京セラ・稲盛和夫氏、サッカー日本代表・岡田武史氏など、人間力を高める月刊誌『致知(ちち)』に登場した各界一流人の名言や仕事術など、あなたの「人間力アップ」に役立つ情報を配信中。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 致知出版社の「人間力メルマガ」 』

【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け