そして、私は、第3位の親亡き後の生活支援…が目を引きました。障害を持っている子供や引きこもりの子供がいる高齢の親の苦悩を聞くことがあるからです。自分たちの介護や認知症の心配より、自分たちが亡き後、この子はどうやって生活していくのか…兄弟に負担をかけられないがどうやって財産を残せばいいのか…と。
この問題を、せめて親が元気なうちに、兄弟とも話し合うことができれば、親も兄弟も、ずっと心が軽くなるはずです。みんなが力を合わせて知恵を出し合うこともできます。親族の話し合いの結果を踏まえて、家族信託の契約書には、生きている間のこととしては、
- 介護費用をどのように賄うか
- 不動産の売却、購入、管理に関すること
- 生前贈与(学費や結婚費用)に関すること
亡くなってからのことは、
- 誰に何の資産を渡すか(遺言)
- 相続の後の2次相続以降(資産を渡す順番)
- お金の渡し方(引きこもり、障がい者等に対して)
などをきめ細かく書くことになります。たとえ、結果的に、信託契約書にする必要がなかったとしても、高齢の両親と子供たちが、家族信託の検討を契機に、将来のことをざっくばらんに話し合う機会をもてるということだけでも、どれほど親も子も心が軽くなるか…と思いました。
勉強会でお話しいただいた日本財託の横手彰太講師の著作は会場で完売しました。『親が認知症になる前に知っておきたいお金の話』(ダイヤモンド社)です。興味を持たれた方はぜひ!
image by: Shutterstock.com