しつけられた犬でも、咬傷(こうしょう)事故が起こってしまう可能性はゼロとはいえません。環境省の調査によると、2016年の咬傷事故は4,341件。
また、被害者と犬の関係を見ると、多くの場合『他人の犬』であることがわかりました。
(参考:動物による事故|環境省)
他人の犬と触れ合う機会は少なくありません。普段おとなしい犬でも、飼い主以外に警戒したり興奮したりして噛んでしまうということは十分あり得ます。
「うちの子は絶対にそんなことしない!」と思っていても、飼い主として被害を最小限に抑えるために、対応は知っておくべきでしょう。対応の流れは基本的に下図のようになります。
この記事では、咬傷事故が起こった場合の対応を詳しく解説します。
1. 被害者と病院に行く
まずは、誠実な態度で謝罪を行い、被害者を病院に連れていきます。傷の程度によっては救急車を呼びましょう。また、事故が大きい場合や、その他二次被害があった場合は、警察にも連絡しておくことをおすすめします。
犬に噛まれた場合、『狂犬病』の感染を恐れる人は多いでしょう。被害者を安心させるためにも、予防接種を毎年行っていることを、医師から伝えてもらいましょう。
ちなみに、毎年犬に予防接種を受けさせることは『狂犬病予防法』で定められた飼い主の義務です。もし、これに違反した場合、20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
咬傷事故が起こった場合、ケガの治療とともに、破傷風や狂犬病のワクチン接種が行われます。これらの費用も治療費に含まれますので、すべての治療が終わるまでの期間や費用を医師に確認しておきましょう。
2. 条例に従い事故の報告をする
咬傷事故が起こった場合、傷の程度にかかわらず、条例に従い市区町村長へ事故の報告をしなければいけません。報告先は、動物指導センターや各市区町村役場、保健所など地域によってさまざまです。
被害者にも『被害届』を提出してもらうようにしましょう。また、報告は事故発生から24時間以内と期限が決まっていますので、ご注意ください。
3. 48時間以内に愛犬を獣医に見てもらう
咬傷事故が起こったら、48時間以内に獣医に検診してもらう必要があります。これは、噛みついた犬が狂犬病や、その他の感染症にかかっていないかを確認するためのものです。
検診後は『検診証明証』が発行されます。被害者また必要であれば、2の報告先へ提出しましょう。
4. 保険を確認する
治療費などに対し、ペット保険はもちろんですが、相手が加入している健康保険や状況によっては労災(通勤・帰宅・勤務時間内の場合)が適用されるでしょう。
まず、どのくらい保険が適用されるのか確認しておきましょう。また、勝手に和解を行ってしまうと保険の適用ができなくなってしまうことがあります。個人間で和解をしてもよいのか、詳しく確認しておきましょう。
5. 被害者と和解に向けて話す
被害者と和解に向けて話し合いましょう。治療費や和解金の金額、支払い期限などを決めていきます。また、保険を適用する場合はその旨について話しておきましょう。
和解が成立した場合、決まった内容をまとめて“和解書”にしておくことをおすすめします。後々、約束以上に金銭を請求されるなどといったトラブルを回避するためです。
もし、当事者間だけで話し合うことが難しい場合、弁護士に依頼することも検討しましょう。和解書も作成してもらえるので、安心できます。
まとめ|誠実な対応でトラブルを回避!
事故が起こってしまったら、とにかく誠実な対応が求められます。被害者が軽んじられていると感じれば、トラブルに発展するでしょう。
そのせいで、ご自身の愛犬が『悪い犬』というレッテルを貼られてしまうかもしれません。愛犬を守るためにも、正しい対応を把握しておきましょう。
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