米中貿易戦「勝利」でトランプが習近平に親近感。次の標的は日本

 

日経平均株価

日経平均は、12月26日1万8,948円になり、12月27日にPKOを行い、2万0,211円まで戻して、1月4日に104円まで円高になり、1万9,241円まで下がり、その後上昇して1月18日2万0,666円まで上昇した。

日本電産の減益発表でも、日経平均は値上がりした。この原因は、ムニューシン財務長官の対中関税解除発言があり、それと円が109円台になり安心感が出たことであるが、2018年10月2日2万4,448円と12月26日1万8,948円の3分の1戻しにも行っていない。しかし、3分の1戻しの2万1,000円程度には上がると期待したい。それにしても、NYダウとの差が大きい。

この原因は円高にある。1ドル110円から104円で推移している。FRBは利上げ停止になるが、日銀は利下げはできないし、量的緩和も、これ以上にできない。米FRBが利上げ停止から利下げ開始までの平均的な期間は1年であり、2018年12月で利上げ停止したとすると、2019年12月には利下げ開始の可能性がある。このため、今後円は80円まで円高になる可能性も指摘されている。

それと海外投資家が、売り終わりで市場参加者が減り、売買代金が少なくなり、日銀ETF買いの影響が増している。取引高が2兆円割れになる日も出てきている。

このため、日経平均よりTOPIXの上げが目立っている。朝方株価が下がると10時ごろから介入が始まり、上げることが多く、市場の予想とは違うことになる。ということで、日銀ETFがあり、株価が上下ともにあまり動かないようである。市場の価格形成機能が失われる可能性が出てきている。東京市場は、難しい局面になってきた。

トランプ大統領の次の貿易交渉相手

中国は、トランプ大統領との貿易戦争を回避するために、貿易収支のゼロ化を約束する。24年までには貿易を均衡状態にすると中国は譲歩して、米国の要望の多くも実現させる。このため、トランプ大統領の初期の目的は達し、大いに満足しているようだ。

中国との問題は米国技術を盗むことであるが、これは、中国人の留学生を入れないなどの対策を打つことと、中国進出企業の技術を保全することを中国に約束させることである。中国も国家体制に影響しないことは了解したようである。

このようにトランプ大統領の中国とのディールでは、大満足の状態になってしまった。これは大きい。中国の習近平国家主席に対して親近感を一層深めてしまった。その上、習近平国家主席は北朝鮮との仲介もしてくれている。米国市場は喜んでいるが、日本は悲しむべきである。今後の対米交渉が難しくなるからである。

中国が終わり、次の貿易不均衡の相手は、今までの同盟国である日本とドイツになり、その両国の自動車に的を絞り、かつ為替の水準にも言及することになる。中国のように米国の全面的な要求を受け入れないと、トランプさんは不満を感じて、親中反独日のような感じになるはず。米国議会は反中でも、トランプ大統領は親中という事態になる。ややこしい事態になると見る。

このため、2月にドイツのメルケル首相が日本を訪問するのも、日独が対米交渉の前面に立つので、意見調整のために来るようである。

とうとう、中国を隠れ蓑にはできなくなる。大きな覚悟が必要である。このコラムでは、最初から地産地消経済に転換するしかないと提案したが、その実現を目指すしかないことになる。

もし、米国の要求を聞かないと、その時は米中から挟み撃ちになり、日本はEUと共同で打開策を練るしかなくなる。米国との交渉では、くれぐれも注意が必要である。

英国もトランプ米国との経済統合かEUとの経済統合を選ぶことになり、トランプ米国を嫌い、EU離脱を考え直している。英国民も訳が分からないトランプ米国が怖いのである。

米中がホドホドの関係になると、世界の構図はまた違うことになる。日本やEUの立ち位置は難しいことになる。今までの米同盟国はどこも難しい状態になってくる。敵と味方が逆転した感じをトランプさんは感じているようだ。中露の時代ともいえるのは、トランプ米国の心が変質したからである。

トランプ大統領は、多国間関係を考えないしそのため戦略的な全体像も描いてはいない。個別のディールを積み上げていけば、米国が偉大な国になると考えているから、交渉相手と個別の損か得かの取引を行うことだと、日本の交渉担当者は肝に銘じることだ。

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