脂肪燃焼のメカニズム。肉の中でも羊肉は太らないと言われる理由

 

L-カルニチンはアミノ酸の一種で生体内では、リジンとメチオニンという必須アミノ酸から合成されるアミノ酸の一種です。L-カルニチンはヒトでは生体内に通常、20,000mgが蓄えられているとされていて、およそ70mgが1日に消費されているといわれています。

そしてそれを補うために、私たちの体内ではL-カルニチン約20mgを生合成し、別途50mgを食事から摂取するといわれています。ちなみにL-カルニチンは赤身の肉に多く含まれており、特に羊肉に多く含有されています。

大のジンギスカン好きな知人がいるのですが、決してスリムとはいえないその知人が体型を気にしながらもジンギスカンだけは胸を張って食べに行く理由は、ジンギスカンに使用する肉が羊だからということでした。

サプリメントにはまったく関心がない人なので、カルニチンという素材までは理解していないものの、ジンギスカン=羊肉は太らないというちょっとした話題になっているようです。(カルニチンが豊富なのは事実ですが、カロリーオーバー分は当然太ります。…念のため)

このL-カルニチンというアミノ酸はタンパク質を構成するアミノ酸ではありませんが、脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶ担体という重責を担っているのです。

通常、体脂肪は運動などの刺激により脂肪細胞の脂肪が脂肪酸に変換され、その脂肪酸は細胞内に存在するミトコンドリアと呼ばれる場所で燃焼されてエネルギーに変換されます。このミトコンドリア内には、クエン酸回路と呼ばれるエネルギーを生み出す部分が存在しています。

しかし、このミトコンドリアは細胞内に存在するものの、独立した核を持つ生命体ですので、ミトコンドリアの中に何でも入ることが出来るというわけではありません。つまり、脂肪酸はそのままではミトコンドリアの膜を通過することが出来ないのです。

L-カルニチンは脂肪酸が変換したアシルCoAという物質と結合して、ミトコンドリア内に脂肪酸を通過させる働きがあるのです。機械に例えていうと、ガソリン(脂肪酸)をエンジン部分(ミトコンドリア)まで運ぶ輸送体(L-カルニチン)ということになります。

しかし、L-カルニチンがあるだけでは事はうまく機能してくれません。それは、ミトコンドリアへの脂肪酸の取り込みを調整する酵素が鍵を握っているのです。その酵素とは、カルニチン-パルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)です。そして、このCPT1を強く阻害するのがマロニルCOAという物質です。

print
いま読まれてます

  • 脂肪燃焼のメカニズム。肉の中でも羊肉は太らないと言われる理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け