マロニルCOAはクエン酸回路で処理しきれずに過剰となったクエン酸が、再びアセチルCOAを経てマロニルCOAへと変わっていくのですが、ミトコンドリア内で脂肪酸とグルコースのどちらをメインに使うのかを調整している物質として注目されています。
持久系の運動を続けることで脂肪酸の分解が促進されると、ミトコンドリア内のアシルCOAが増えるのですが、この物質はグルコースから代謝されてきたミトコンドリア内のピルビン酸がアセチルCOAへと変化する際の酵素(PDH)を不活性化させます。簡単に言えばミトコンドリア内でのグルコースの酸化を抑制するのです(グルコースを利用しにくくする)。
ところが逆にその状態でグルコースを摂取すると、今度はグルコースからマロニルCOAが生成されて、CPT1が阻害されるために脂肪酸をミトコンドリア内に取り込みにくくなります。その結果、PDHが活性化されてグルコースの酸化が促進されるようになります。
このように、グルコースと脂肪酸はどちらもがそれぞれの酵素の反応によって調整をし合っているのです。グルコースの摂取による脂肪酸酸化の抑制のメカニズムは、マロニルCOAによるCPT1阻害という点で説明することが出来ます。
理屈っぽい説明に感じたかもしれませんが、朝一の軽めのジョグ程度であれば、敢えて糖質を摂らずに行うことで脂肪酸がよりスムースに使われるという理屈は成り立つと言えます。
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