日本のエネルギー政策論議で欠けていること
2019年3月、ある夜中に3時間以上にわたる民放の討論番組で、日本のエネルギー政策についての議論が生中継で行われました。久しぶりに私はその番組を最後まで見ていましたが、多数の論客からは、地球温暖化による健康被害についての言及はゼロでした。話題が原子力発電についての是非に集中したためにそうなったとは思いますが、論客達ももっと勉強をして視野を広げてほしいと思います。
日本での原子力発電は、事故の可能性が決して低くなく、また事故が起こった場合の被害の甚大さを考えると、選択されるべきではないと思います。だからといって火力発電中心に戻るべきではないでしょう。中国やドイツでは、再生エネルギーの導入を加速させています。一方で、日本政府は、相変わらず石炭や石油などの化石燃料の燃焼による火力発電に頼る政策を発表しています。
電力会社とそれを規制する担当省庁の利権が、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を阻んでいることを、国民に広く知らせる役割ではこの番組の価値はありました。しかし、3時間もエネルギーに対して討論していたのに、地球温暖化で世界中の人々が健康被害を受けていることについての言及はなかったのです。スウェーデンの女子高校生が見たらどう感じるでしょうか。二酸化炭素排出量の多い日本にその行動をとる責任が問われているのです。
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