さらなる妖怪ワールドのバージョンアップ目指して
さて、昨年7月に実施した「水木しげるロード」リニューアルの目玉は、51種類の妖怪が影絵となって道に映し出される演出照明で、夜の観光を強化する目的を持っている。鬼太郎をはじめ、提灯お化け、松の精霊、夜雀などの妖怪たちが現れては消え、とても幻想的である。
いかにも妖怪が出そうなおどろおどろしい形状の樹木が植樹され、夜はライトアップで青や赤のようなネオンカラーに光るので、怪しげな雰囲気が満点である。こういう環境だから、妖怪たちのライトアップもより効果的に見える。
また、戦後間もない頃まであったようなレトロな街灯、井戸水を汲むホンプなども設けられ、昭和にタイムスリップしたような空間演出がはかられている。
道は、これまで車は対面通行だったが、一方通行に変更された。歩道を広げて車道を狭め、歩行者優先となった。
こうした施策で、「水木しげるロード」のテーマパーク化がより進み、徹底されてきたと言えるだろう。
「水木しげるロード」の影響は最寄りの交通機関にまで及び、JR境線の全駅には妖怪の愛称が付けられている。境港駅は鬼太郎駅、米子駅はねずみ男駅、米子空港駅はべとべとさん駅といった具合だ。
走っている列車も、「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターでラッピングされている。
米子空港は、米子鬼太郎空港と名乗るようになった。どれだけ地元が妖怪に期待しているかが、伝わってくる。
「小さな子供さんから、おじいちゃん、おばあちゃんまで、3世代で楽しめるのがゲゲゲの鬼太郎の魅力です。水木しげる先生の世界観を境港から発信していきたいですね」と、境港市役所観光振興課では手を緩めることなく、さらなる妖怪ワールドのバージョンアップを目指している。
Photo by: 長浜淳之介