「70人集まれば同じ誕生日人、2人はいる説」を意外に感じる理由

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自分を含め同級生が40人いたら、その中に誕生日が同じ2人がいたという経験をほとんどの人がしています。断言するのは、40人の中に誕生日が同じ2人がいる確率は89.1%だからです。これは双子を除いた確率で、学生生活の中で、クラスメートが何度か変われば、一度は経験していておかしくありません。この確率を思ったより高いと感じる「誕生日問題(birthday paradox)」について、メルマガ『8人ばなし』の著者の山崎勝義さんが考察。導き出したのは人間の心理であり、真理でした。

誕生日問題のこと

確率の問題である。「何人の人間が集まれば誕生日の重複が起こるか」

一応断っておくと、1人の時が0%で、閏年を無視すれば366人で100%となる。ここまでは簡単である。面白いのはその間、即ち2人から365人の間の確率変動である。

仮にこれが1人の時に0%、そこから徐々に上昇してちょうど半分の183人で50%、さらに同じように上昇して366人で100%というなら分かり易い。

ところが実際の確率計算では全く違う結果となる。これを「誕生日問題(birthday paradox)」と呼ぶ。

以下に人数と確率の関係を示せば

  • 10人の時、11.7%
  • 20人の時、41.1%
  • 23人の時、50.7%
  • 30人の時、70.6%
  • 40人の時、89.1%
  • 50人の時、97.0%
  • 70人の時、99.9%

となる。

意外に人数が少ないと思うのではないだろうか。23人で誕生日の重複確率は50%を超え、30人で7割、40人で9割となる。そして70人集まれば誕生日が同じ人がいる確率は実に99.9%にもなる。

この意外性こそが本来パラドックスなど存在し得ない確率の世界の現象に「paradox」の名を付けさせたのであろう。改めて言えば「計算で求められる実際の確率と直感的に頭に浮かぶ確率との驚くべき乖離」をパラドックスと敢えて呼ぶのであろう。

それにしても高々30人で同一誕生日の人が存在する確率70%以上というのは、やはり違和感を覚えるほどに高い。なぜ我々の直感はそれほどまでにこの高確率を受け容れ難く感じるのであろうか。

その原因はもう一つの誕生日に関する確率問題に求めることができる。それは「何人の人間が集まれば『自分の』誕生日との重複が起こるか」という問題である。

この確率を計算すれば

  • 23人の時、5.86%
  • 100人の時、23.8%
  • 200人の時、42.1%
  • 254人の時、50.05%
  • 300人の時、56.0%
  • 366人の時、63.26%

となる。

こちらの方がしっくり来るのではないだろうか。23人で6%弱、254人でやっと50%超えである。仮に一年の日数よりも多い366人が集まっても63%強に過ぎないのである。これは最初の誕生日問題から分かる通り自分以外のところで容易に誕生日の重複が出るからである。

これはちょっと皮肉である。それがたとえ確率の計算という極めてドライな行為であっても、そのテーマが、例えばここで言う「誕生日」のように、己というものに何かしら関係付けることができるものなら我知らず自己を中心に据えて直感的概算をしてしまっているということになるからだ。

こう考えると、どうも我々は確率の世界においても「自己中」のようである。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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