さらなる負担増と給付抑制を
【読売】は3面の解説記事「スキャナー」。見出しは「野党『年金』に集中砲火」。主に、立憲民主党・枝野代表とのやり取りをピックアップして、細かく紹介している。
3面には社説もあり、そのタイトルは「中長期の政策課題に向き合え」「持続可能な社会保障論じたい」としている。
《読売》が「中長期の政策課題」と位置づけているのは、少子高齢化と人口減少への対策で、具体的には「社会保障制度の総合的な改革」を指している。2012年の3党合意に基づく「税と社会保障の一体改革」は団塊世代が後期高齢者となる2025年に備えた施策だったので、その先、高齢化がピークを迎える2040年を見据えて「新たな制度設計を考えることが重要」だと言っている。その中心的な中身は「負担増と給付抑制」ということになり、《読売》がイメージするのは、消費税率のさらなる引き上げということになるらしい。
討論会で安倍氏は、今後10年間は10%以上への引き揚げは不要と述べたが、《読売》はこれが気に入らないらしい。「消費税率を上げるから財政再建ができない」と考える経済学者もある中、まもなく税率10%への引き上げが強行される。《読売》の背後には、消費税の税率をさらに上げて、財政再建を果たそうとする財務省の影が見え隠れしている。
与党間にも温度差
【毎日】は3面の解説記事「クローズアップ」で、党首討論会について伝えている。見出しには「改憲 自公に温度差」とある。
候補を一本化しながら野党はばらばらではないかと安倍氏が批判するのに対して、《毎日》は「与党も食い違いがありますよ」と言っているわけで、野党側から逆ねじを食わせている形になっている。
与党間の「温度差」は憲法改正に関するもの。討論会で公明党・山口代表は「憲法(改正)が直接今の政権の行いに必要なわけではない」と語り、《毎日》は「温度差をにじませた」と言っている。因みに山口代表のこの発言に注目したのは《毎日》だけのようだ。さらに山口氏が「与野党を超えて議論を深め、国民の認識を広めることが大事だ。まだまだ議論が十分ではない」と述べたことについては「『合意形成』にさえ触れなかった」というふうに発言の意味を捉えている。
5面の社説タイトルは「欠けていた未来への視点」となっている。「深刻な人口減少問題を正面から取り上げる党首がいなかつたことをはじめ、多くの国民が抱いている将来への不安の解消につながる論戦が展開されたようには思えない」としている。
もう1点。見出しには取られていないが、語るべきことをきちんと語らない安倍氏の姿勢が強く批判されている。アベノミクスに関しては相も変わらず「有効求人倍率などの都合のいい数字を並べ」、ロシアとの北方領土交渉について訪ねられると「威勢の良い言葉を発していれば解決できるのか」と開き直り、トランプ米大統領の日米安保条約に関する発言については、条約の重要性はトランプ氏に説明していると述べるにとどまり、「議論を封じた」という。