かんぽ生命と吉本がいい例。令和の世は嘘や隠しごとが命取り

 

マンションでも、そうです。ディベロッパーの施工不良が、いい加減な対応で済まされてきた現状がありました。その中の一つに、マンションの構造スリットの施工不良問題があります。この問題についても、ようやく国交省が動き出しましたと新聞報道がありました。

構造スリットとは、地震の揺れで建物が破損しないよう、柱と壁等を構造的に切り離すために設ける2~5センチの隙間のことで、そこに、緩衝材が充填されます。

構造スリットについては「今さらですが、耐震スリットって何?」でも書きましたが、一部の専門家が、構造スリットの施工不良を問題視し、その現状については、雑誌等でも取り上げられてきましたが、なかなか国が動きませんでした。

構造スリットは、施工が難しく、構造スリットが接する柱や壁の型枠にコンクリートを打ち込むときの圧力で、スリットの設置位置がずれてしまうことが多々あるのです。そのことに施工業者も気づかずにいるケースも多く、外観からはわからないので、施工不良が、マンションの中に眠っている危険があるのです。不良個所が発見されても、ディべロッパーは問題をなかなか認めず、認めても、そこだけの問題で済ませようして、全点検をしようとしなかったのです。

点検すると、施行不良はもちろん、図面上ではあるはずのスリットが抜け落ちているものも発見されています。施工不良が発見されたマンションと同じ時期に同じディベロッパー、同じ施工業者が施工していたら同様の施工不良があることは、十分想像できます。点検をすべきだと、この問題にくわしい専門家は前々から言っていましたが、問題が大きくなるまで腰を上げないのがディベロッパーです。

地震の被害を少なくするために設けられた構造スリットが、施工不良で、かえって危険を招いてしまうこともあるのです。外から目視ではわからないので、震災で崩れて、初めて発見されるものもありました。

国交省は、不備が明らかな物件で、なぜ設計通りに施工されていないのか、その原因について情報取集し、自治体に改修方法などを指導する方針だといいます。国交省が動いたことでようやくこの問題が表に出た感があります。ディベロッパーには、真摯に対応してもらいたいと思います。

失敗はだれにでもありますが、それが発覚したときに、力で誤魔化して乗り切ろうとするのではなく、誠意を持って当たることが唯一人や企業を守ることになる…「令和」がそういう時代になるよう、それに気づかない人や企業には、厳しい目をもって臨みたいです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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