では、具体的に、声色には、どういう種類、要素があるのか、挙げていきましょう。
1、高低
日本語は、アクセントが高低であるため、話し方に抑揚が付くと、声が高くなるのは自然なことです。結果、感情の高まりに伴って、声まで高まるわけですが、常に甲高い声ばかりですと、聞き手に不快感を与えかねませんから要注意です。
声を高める声色よりも、むしろ低くする声色を意識するほうが、多くの人にとって、有効かと思います。
高い声の声色をわざわざ使う時は、例えば、ヒステリックな人や変わった話し方の人を真似たりとか、ちょっと特殊な場面をイメージすることが多いですよね。
2、強弱
無段階的に、
- 叫ぶ
- 張る
- 緩める
の各レベルによる強弱があります。
普通に良い声と呼ばれる強度は、張っている声ですが、これは聞き手との距離によって変化する要素です。大勢の人を前にすれば、自然に張りますし、広大な場所での演説であれば、その声は叫びに近くなるはずです。
3、ひっかける
声帯をどう振動させるかで、
- ひっかけない
- 丸い
- ハスキー
- だみ声
これら各レベルがあります。
おおざっぱな表現になりますが、ひっかけるというのは、本来、素直な発声では響く必要のない部位まで、振動させてしまっている状態、イメージでいうと、ひっかけないのが、ただの黒丸だとすると、だみ声は、QRコードみたいな状態です。
ハスキーなのが魅力的なヴォーカリストが多数いるように、声帯の響かせ方は、個性の演出に直結しています。
4、細い太い
声が響く体の空間が、
- 高くて狭いか
- 低くて広いか
声の細い太いは、肉体的な特徴・性質に影響を受けるものです。
例えば、私はニュース番組で、外国人のコメントの吹き替えなどを担当して長いのですが、東洋人男性と黒人男性では、明らかに、声を響かせている体の空間の質の違いを感じます。
私は東洋人ですので、素のままで黒人男性の声にあててコメントを読むと、映像全体が違和感のあるものになってしまいます。黒人男性の吹き替えでは、意図的に声を太く、体の奥を響かせるように、発声することにしています。
また、東洋人男性は、高くて細い声質であることが多いため、太い声を練習することで、良い声と評価されることもあると思います。低い声の男性がモテるなどと言われたりしていますが、低くなくても、太い声がモテ声なのだと、私はひそかに思っています。
5、一つの音に含む息の量
- 少ない
- 多い
これはどういうことかというと、発音の仕方の問題でもあるのですが、ひとつひとつの音に息がたくさん含まれているため、いちいち「h」が聞こえる発音になるような声色です。
具体的には、森本レオさんの声真似をイメージするとわかりやすいと思います。声を張らないかわりに、息を吐いている感じ。これも声色のバリエーションのひとつに加えておきたいと思います。
このように、大まかに、5項目に分けてみました。そのほか、一音の長さ、発音の粒立ち、イントネーションなどの項目については、口調の変え方のときにお伝えしたいと思います。