ここでは大雑把に、どんな「学生」と呼ばれる立場があるのか、その年齢はどのくらいかを、陸上自衛隊の幹部自衛官(将校)を例にご説明しておきたいと思います。
幹部初級課程(Basic Officer’s Course; BOC)──陸上自衛隊幹部候補生学校を卒業した一般幹部候補生出身の3等陸尉は、そのまま各職種学校に入校し、各職種の初級幹部として必要な知識や技能を修得します。23歳から30代半ばくらいです。
幹部上級課程(Advance Officer’s Course; AOC)──陸上自衛隊幹部自衛官の中でも3等陸佐への昇任を希望する者の必修課程です。昇任希望かどうかに関わらず、幹部になって5~6年が経過した幹部自衛官は特別な事情がある場合を除き、履修しなければなりません。多くが30~40歳代です。
幹部特修課程(Functional Officer’s Course ; FOC)──幹部上級課程を修了した3佐または1尉(これと同等の能力を有すると陸上幕僚長が認めた者を含む)のうち、入校の時点で年齢43歳未満の幹部自衛官が学びます。
技術高級課程(Tactical Administrator Course; TAC)──理工学修士以上の学位または同等の能力を備えていると認められ、かつ幹部上級課程(AOC)を修了もしくは同等の能力を有すると認められた40歳未満の3佐または1尉の志願者から、試験によって選抜されます。30代後半が多いようです。
指揮幕僚課程(Command and General Staff Course;CGS)──上級指揮官・幕僚に求められる戦略的・戦術的知識及び技能と、連隊規模の部隊運用に必要な統率力・判断力を身につけることを目的として教育が行われます。学生は幹部上級課程(AOC)を修了もしくは同等の能力を有すると認められた40歳未満の3佐~2尉の志願者から試験によって選抜されます。旧軍の陸軍大学校に当たる将官への登竜門で、30代半ばが多いようです。
幹部高級課程(Advanced Command and General Staff Course;AGS)──学生は、指揮幕僚課程を修了した1佐~2佐より、成績や勤務評定などを参考に選抜され、高級指揮官・幕僚に求められる戦略的・戦術的知識および技能と、師団以上の規模の部隊運用に必要な統率力・判断力を身につけることを目的に教育が行われます。40代前半が多いことはおわかりでしょう。
田母神氏のところで出てきた統合幕僚学校の一般課程は2006年から幹部高級課程に統合されました。自衛隊の「学生」と言っても、「若者」ばかりではないことがおわかりだと思います。(小川和久)
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