出向の契約書は意外と大変
深田GL 「ところで、出向を合法にすすめるには出向協定書と出向契約書と雇用契約を作成しないといけないぞ」
新米 「出向協定書と出向契約書と雇用契約…?そんなに書類を作成しないといけないんですか?」
E子 「そうよ。これ、案外知らない人多いみたいだけどね」
新米 「雇用契約書は、出向元と出向先とに雇用契約があるなら両方と結ぶことになるんですよね?」
E子 「そうよ。そこは理解できているみたいね」
新米 「出向協定書と出向契約書は誰と誰の間で結ぶものなんですか?」
深田GL 「出向協定書は、出向元と出向先間で結ばれるものだよ。Aさんを出向させるにあたり、二社間でどう言う内容で出向を行うのかという取り決めをするんだ」
新米 「どんなことを決めておくんですか?」
深田GL 「そうだね。出向期間はもちろん、給与全額のうちいくらを出向元から、いくらを出向先から支給するのか、賞与や通勤手当、退職金はどうするのか、就業規則の適用はどうするのか、福利厚生等に関する費用、や出張時の旅費、日当、他にも雇用保険や健康保険、厚生年金保険、労災保険はどちらが取扱いするのか、その負担はどうするのかなど二社間の決め事を協定するんだよ」
新米 「そっかー、そういうことをあらかじめ決めておかないといけないんですね」
深田GL 「出向契約書は、出向元が従業員とこれから出向先に言ってもらうよという意味の、退職金の扱いなど、出向期間中の扱いについての契約の詳細だね。なぜなら就業規則には、『出向させることがある』といった程度の簡単な規定しか記載されていないことがほとんどだからね」
新米 「確かに…。就業規則では、細かなことまで決めてないですもんね」
E子 「それから、出向料の取り決めも同時にしておかないとね」
新米 「出向料?」
E子 「そうよ、出向料。出向にかかる費用の分担のことね。これを適性に取り決めしておかないと税務署の調査でも困るのよ」
新米 「税務署の調査まではよくわからないですよ~」
深田GL 「いやいや、所得税のことは給与計算をしていて知っているだろう?出向に関する税に関することも知っておかないとな。うちの事務所では、簿記検定の2級までを必須としているだろ。お金のやり取りの仕訳はもちろん、それにまつわる行政の調査では何を見ているかはおさえておかないといけないぞ」
新米 「あ、はい…」
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