アカデミー賞発表のとき、筆者が一番印象的だったのは、「最も個人的なことが最も創造的なことだ」ということばを胸に抱いて映画の道を歩んできたけれど、そのことばを語った方が目の前にいらっしゃるマーティン・スコセッシ監督です、といってスコセッシ監督を紹介する場面。最大の賛辞を込めてスコセッシを紹介するその謙虚さと純真さだった。会場全体がスコセッシに対して起立拍手となった。コッポラとかスピルバーグなどは知ってるけど、スコセッシは寡聞にして筆者は知らなかった。調べてみるとアカデミー賞監督賞・作品賞などを取ったこともある非常に有名な人だった。経歴もすごいけど、「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」というこんなことばを残すとは、やはり一流の作家なのだろう。非常に含蓄に富み、クリエイティブなことに関心をもつすべてのひとに力を与えてくれることばではある。
韓国では、アカデミー賞の受賞をうけて最近また『寄生虫』を見に映画館に足を運ぶ人が増えている。ちなみに中国では、2019年7月28日に中国青海省の省都・西寧市で開催された「西寧ファースト青年映画祭」の閉幕式で上映される予定であったが、前日の7月27日午後に突如「技術的な理由」による上映中止となった。本作の内容が中国当局の検閲で問題視された可能性が高いと見られている。
また北朝鮮は、南朝鮮はこの映画のように貧富の差が激しくて住みにくい世の中みたいだけど、こちら北朝鮮は共産国家だからそんなことは全然なくみんな平等で貧富の差もなくすべての人が同等の生活をしているよ、というコメントを発表している。北朝鮮一流の自分を棚に上げたおちょくりである。世界のだれもが鼻で笑うようなことをこともなげに言う。その図々しさには頭が下がる思いだ。
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