手厚さ、スピード感が日本と段違い。アメリカの支援金給付事情

 

(3)個人事業主もしくは従業員500人以下の中小企業

中小企業に対する救済措置もある。連邦政府が決議済みの2兆ドル(220兆円)の景気刺激策の一部で(上述の個人給付金もここから支出)、米国中小企業庁(SBA)主導で支援されるものだ。

主に2種類あり、1つはEconomic Injury Disaster Loan Program(通称EIDL)。これ、細かい申請内容はあるけど、大注目された理由は最大1万ドルが承認後3日以内に支払われ、かつ返済不要という点。申請は早い者勝ち。しかもローンという名前なのに返済不要ということで、今回の新型コロナで何かしら収益減になった企業はこぞって申請している。

しかも申請時に必要な情報は、決済情報などは不要で、企業名や従業員数といった基本情報だけ。ローンなのに審査も何もない。多くのメディアやファイナンシャル・アドバイザーによる解説が出ていたが、当たり前のように問題発生。当然のことながら申し込みは殺到。早々に受付を打ち切り、SBAは、「申請多数のため資金が枯渇したので従業員1人につき1000ドルの給付にする」と4月なかばごろに発表し、大混乱となった。

そりゃそうだ。収入が激減し、従業員の解雇を迫られている企業にとって1000ドルで従業員を雇うことはできないし、オフィスや店舗家賃の少しの足しにしかならないのだから。結果的に一部の企業に支払いはあったものの、資金枯渇のため停止。

その後、4月20日に4500億ドル(約48兆円)規模の追加対策が決まり、支払いは再開。知人で申請したという会社にも支払いが入ったと連絡があった。
米、4500億ドルの追加対策発動へ 雇用維持へ財政第4弾

企業向けの支援策はもう1つある。通称PPPと呼ばれている、Paycheck Protection Program。これは主に失業者対策がメインの支援で、従業員500人以下の企業の場合、最大1,000万ドルのローンを提供するもの。しかも従業員を維持し、SBAが認めれば全額返済免除となる。

金額も大きいので、この申請には決算書など準備が必要。すでに準備している企業は多いようで、こちらもかなりの数の企業が申請し、早速、振り込まれている。

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