■撮影スケジュールを見積もる
予算をもとに<撮影日数は最大5日間>と試算しました。シナリオを読んで何日かかる…ではありません。予算が撮影スケジュールを決めます。
- 役者の人数
- スタッフの人数
そこから予算との兼ね合いで、撮影スケジュールが割り出されます。つまり、その撮影スケジュールでどうやって撮り切るか?を考えるのが次のステップになります。
撮影は5日間、と試算しました。その段階で、「じゃあ4日間しか使えない」と考えます。1日は、何かあった時のための予備日です。しかしこの4日間がフルに使えるかというとこれまたとんでもない。
- 屋外の撮影は、想定の1.5倍かかる
- 室内の撮影は、想定の2倍かかる
そんな気持ちでいます。
屋外の撮影がなぜ1.5倍か。通行人や車などで映像的な邪魔が入り、電車やサイレンなどで録音的な邪魔が入るからです。そのため、屋外の撮影では、「もうこれでいいや」と妥協せざるをえないことも多い。
続いて、室内。これは屋外のように邪魔なものがありません。でも実は、屋外よりも時間がかかるのです。…なぜだと思いますか?
邪魔が入らない分、監督が「余計なことにこだわり出す」ためです。屋外では気にもしてなかったような、光の当たり方とか構図といったものに、
すごくこだわるようになります。
「これもやってみたい」
「これも試してみたい」
その結果、時間がかかってしまう。人は、制限がないとどこまででもやっちゃう生き物なんですね。
さて、ということは、ですよ。撮影が4日間あると言っても、4日間分は撮影できないんです。それを見越して、絵コンテを描いていく。
★与えられた時間をフルに使うような絵コンテは描いてはいけない。
かつ、撮影当日は、無駄なやりとりを一切排除し、事前準備を周到にし、気心知れた少人数のチームで挑みます。これにより、1日の使い方が濃くできますね。
…そんなことを考えていたら、とんでもないことを言われます。
「素人さんをエキストラ出演させたい」
「この場所で撮って欲しい」
今後もあれこれ言われるんでしょうね。
4日間のスケジュールのうち、その6割くらいで撮り切れるような演出。…こんな目標ができました。
クリント・イーストウッドは早撮りで有名だそうです。その秘訣は、ほとんどが1テイクか2テイクでOKを出すこと。僕もこれを目指していきたいと思います。
ここでようやく、僕は絵コンテノートを広げ、シナリオを読みながら、ガシガシ絵コンテに落とし込んでいきました。自分のためだから、きれいになんて描かない。ただのメモでいい。
<今日の教訓>
- 情報はいろんなところにあるのでうまく選んで吸収しよう
- シナリオは文字通り撮らない
- 予算が撮影スケジュールを決める
- 与えられた時間がフルに使えるわけじゃない
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