TBS系列の情報ワイドショー番組『グッとラック!』内で放送された、「学校に掃除機の導入 あり?なし?」というコーナーが、一部で話題となっています。同コーナー内で、「掃除機導入反対派」のように紹介されていたのは、無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教諭の松尾英明さん。しかし番組で流されたインタビュー映像は恣意的に加工された、ご本人の真意とはかけ離れた内容だったようです。松尾さんが今回、その「呆れた事の真相」を記しています。
テレビメディアの害悪
ご存知の方もいるかもしれないが、先日テレビ番組にてコメント依頼をされて放映された。
テレビ番組とは「情報」を発信する媒体である。つまりは、感情の入った報せ。意図があり加工されたものである。
私が依頼された内容は以下の通りである。
企画内容 特集「なぜ? 学校の掃除 掃除機でなくホウキなの?(仮)」
(中略)
▼なぜ掃除機ではなくホウキを使うの?
▼なぜ海外みたいに専門スタッフが掃除するのではなく生徒が掃除するの?
上記2つの質問に、現役教員の立場から学校教育上での掃除の狙い、目的などについてお教え頂ければと思います。
「(仮)」が最も姑息なところで、実際に放映される際には
「学校に掃除機の導入 あり?なし?」
となっていた。一見似ているようで、全く違う内容であることに注意してほしい。そして私は、あたかも「なし」の立場でコメントする人であるかのように放映された。
上記依頼内容(▼)と併せて見比べてもらえばわかるが、質的に全く異なる内容である。元々の依頼内容はつまり「日本における掃除の教育的意義とその歴史について」である。私はここについて、荒れていた子どもが清掃を通して変わっていった姿など、1時間近く熱く語ったのである。しかし、そんな素敵エピソードは全て不要だったらしい。完全に相手の都合よく加工された形で、切り取って使われた。
元々の依頼に対し「掃除機の導入はありかなしか」というのは、テーマのレベルが低すぎる。そんなの、両方うまく使えばいいというだけの話である。というより、私もインタビューの中で「人手が足りない学校は使えば良い」とはっきりコメントしている。何なら、現任校でも十年前に勤務していた学校でも、カーペットの部屋など必要な箇所ではとっくに導入している。
ほうきと掃除機の二者択一なぞ、馬鹿馬鹿しくて議論のテーマにすらならない。「給食は全て米にすべきかパンにすべきか」と同じくらい無意味なテーマである。小学生に討論を教えるために練習として扱う「毒にも薬にもならない、どっちでもどうでもいい議題」である。
とてもいい質問だと思って、間隙を縫って真摯に誠実に答えただけに、大変遺憾である。学校現場で頑張っている全国の仲間たちの一助にと思いやったのが、裏目である。真面目に頑張っている子どもたちと先生方に大変失礼な内容にされており、大変憤慨している。