なぜ「熟年離婚」で女性の年金額が減ってしまうのか?年金のプロが解説

 

さて、冒頭の話に戻しますが離婚した場合の女子の年金は、過去の年金加入事情で非常に厳しいものとなる事があります。そのため、離婚したら婚姻してる間の厚生年金記録を夫から貰いますよっていう年金離婚分割制度が平成19年4月1日に創設された。

これにより、国民年金からの基礎年金の割合が多い女子に対して、厚生年金を貰えるケースも増えたわけです。なので今回も離婚分割によって年金額を増やす事例を見ていきましょう。

1.昭和31年4月20日生まれの妻(今は64歳)

(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。

20歳になる昭和51年4月時点では定時制の大学に通っていて、昭和53年3月までの24ヶ月間は国民年金に強制加入し、保険料は母が支払ってくれた。夜間、通信、専門学校、定時制などの学校は任意加入ではなかった。

学校卒業と同時に昭和53年4月にサラリーマンの夫と婚姻したが、妻は昭和53年4月から民間企業に就職して昭和54年2月までの11ヶ月間は厚生年金に加入した。この間の平均標準報酬月額は16万円とする。

なお、この11ヶ月間で稼いだ給与(総報酬額)は16万円×11ヵ月=176万円とします。

昭和54年3月からは専業主婦に徹し、昭和61年3月までの85ヶ月間は国民年金には任意加入しなかった。昭和61年4月からの基礎年金導入により専業主婦の妻は国民年金第3号被保険者として国民年金に強制加入するようになった。

夫が定年する平成24年5月までの314ヶ月間は国民年金第三号被保険者とする。平成24年5月に夫が定年したから、平成24年6月から平成28年3月までの46ヶ月は自ら国民年金保険料を納める。

先にこの妻の65歳(令和3年4月受給権発生)からの年金額を計算する。年金生活者支援給付金計算は割愛します。

・老齢基礎年金→781,700円÷480ヵ月×395ヵ月=643,274円

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→16万円×7.125÷1,000×11ヵ月=12,540円

ちなみにこの妻の生年月日であれば普通は60歳から年金が貰える人ですが、厚年期間が12ヵ月以上無いので65歳からの支給となるという事に注意。

print
いま読まれてます

  • なぜ「熟年離婚」で女性の年金額が減ってしまうのか?年金のプロが解説
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け