ドラッカーは、こんなことを言っています。
「まちがいや失敗をしない者を信用してはならない。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である」
「成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる」
また
「未来は、望むだけでは起こらない。そのためには、いま意思決定しなければならない。いま行動し、リスクを冒さなければならない。必要なものは、長期計画でなく、戦略計画である」
「得るべき成果と比較して冒険しなければならないリスクが必ずある。戦略計画に成功するということは、より大きなリスクを負担できるようにすることである」
と言っています。とは言え「的外れなムダ事」などできるはずはないでしょう。ドラッカーは「まずマネジメントが行うべきことは、自らの“組織があげるべき成果”を明確にすることである」とし、そして、それについて「これは、実際に取り組んでみればあきらかなように『最も難しく、最も重要な仕事である』」としています。
だから、これと確信したら優先順位を決め「やってみる」ことです。松下幸之助さんは、この判断ラインを「“60%”の成功可能性」だとし、孫正義さんは“3割までの損失”を許容範囲とされています。ご参考まで。あたり前ですが「やってみる“価値”ある」とするものはやってみる。ただし“致命傷”とはならないようにとなるのでしょう。
しかし「倒産」は絶対にないとは言えないことなので、かなり前にご紹介したのですが、電力王と言われた松永安左エ門さんは、「大成する経営者」には“3つのT(倒産、大病、投獄)”が必要だとし、古き良き時代感はあるものの逆に肯定しているのです。“信用”と“気概”さえ崩れなければ、再帰は何度も可能なのでして。
とは言え、もとより倒産は悲劇なので、そのためにこそ“利益”の意義があり、ドラッカーは「利益は“不確定”という“リスク”に対する保険である」と利益の意義を知らしめています。一度、倒産の瀬戸際までいった「トヨタ」では、その痛み体験があるので「カイゼン」が労使間での「共有価値観」になっています。