稲盛和夫が毎夜見た「倒産の夢」。経営者を苦しめる意思決定の原則

Miniature people: Businessman standing on start point of maze using as background business concept.
 

■戦略的(イノベーション)意思決定

ドラッカーは“戦略計画”について「経済活動とは、現在の資源を未来に、すなわち不確実な未来に、すなわち不確実な期待に賭けることである。その本質とは、リスクを冒すことである。リスクを皆無にすることは不毛である。最小にすることも疑問である。得るべき成果と比較して冒すべきリスクというものが必ずある」

「戦略計画に成功するということは、より大きなリスクを負担できるようにすることである。より大きなリスクを負担できるようにすることこそ、起業家として成果を向上させる唯一の方法だからである」

未だかって失敗したことがないと言われる経営者の方がいたら、まずもって“利益額と利益率の推移”を確認してください。この二つが低下しているはずで、もしそうでないならよほどの強運の持ち主か、もしくは戦略的冴えがあるかどちらかで、後者でないならば確信して言いたいのですが、それは続かないということです。

日々の生産性向上活動は、現場に例外事項を除いて権限委譲されます。しかし、変化と競合は常にあり、既存のものは陳腐化するというのは定めであり、もはや時代と顧客の欲求に合わなかうなったものの廃棄とそれに代わるより良い効用ための「革新」はトップマネジメンにしかできない仕事なので、いかに実行するのかが専権の責務となります。

松下幸之助さんはこの責務を果たすために、あらゆる人からあらゆることを聞き出して、これを「衆知を集める」とし独裁しました。東芝の土光敏夫さんはしょっちゅう現場に行き、従業員と話をしました。ホンダの藤沢武夫さんは、会社まで徒歩で通い移ろい確かめました。直な情報こそが、革新のための判断の情報源となります。

イノベーションについての判断は、トップマネジメントでしか行えないもので、このことがない企業は陳腐化に巻き込まれて停滞します。

ドラッカーは「マネジメントは、その責務からして必ず意思決定を行う。違いは、責任を持って行うか。無責任に行うかだけである。成果と成功についての妥当な可能性を考慮に入れつつ行うか、でたらめに行うかだけである」と教えています。松下幸之助さんは「血の小便が出る」まで呻吟して果たされています。

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