稲盛和夫が毎夜見た「倒産の夢」。経営者を苦しめる意思決定の原則

Miniature people: Businessman standing on start point of maze using as background business concept.
 

現場の意思決定

ここで「意思決定」についてですが、その種類と性格と誰を行うかについて整理を行い、その意味合いと意義を明らかにして行きます。

意思決定には3つのものがあり、1つ目は“ミッション”ともかかわる「起業的意思決定」、2つ目は“イノベーション”とかかわる「戦略的意思決定」、3つ目は“生産性向上”にかかわる「業務的意思決定」です。

■起業的(ミッション)意思決定

多くの起業家が事業を始める動機は、使命感を持って始めるというのは稀で、その多くは生活の安定もしくは豊かさを求めてで、加えて夢を適えたいというのが大半を占めるでしょう。起業の意思決定はもちろん起業家が行うものですが、動機はどうであれここで成功するかどうかは「時代性への合致」が成否を決します。

もとより豊田喜一郎さんや井深大さんのように使命感で起業されるケースもありますが、多くの起業家はそれほど意識せずに決断して、事業の行き詰まりや疑問をきっかけで『使命』に目覚めるというのが、その後大きく業容拡大させる経営者のパターンです。『あるべき価値観』への覚醒こそが、中堅になる必須要件となります。

これに関して、またドラッカーの見解を引用するとこうなります。

「組織にとって卓越することが必須とされている分野において、基準を設定し、ビジョンを描く活動、他の活動のインプットとなる活動がある。いかなる組織といえども、ビジョン、価値、基準、監督を必要とする。この活動に携わるのは、いかなる分野の専門家ではなく起業家かもしくはマネジャーの第一人者かの一人で行う仕事である」

“ミッション”は、組織が必死で行いそれによってより良く貢献でき存続と成長を適させる基本的な指針を明らかにするものです。起業家がこれに正しく行き当たれば、思考、活動の焦点が定まります。松下幸之助さんの「水道哲学」や孫さんの「情報革命で人々を幸せに」井深大さんの「自由闊達にして愉快なる理想工場」などがあります。

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