かき混ぜていない味噌汁の味見と同じ。人が陥るバイアスの仕組み

 

視点を上げてみる

私たちは、こういうバイアスを日常的に発生させています。目に入る一部だけをみて、それを全体のモデルだと捉えてしまったり(かき混ぜていないみそ汁の味見をするようなものです)、もともとの分布を無視して、目の前の出来事が稀な出来事だと判断してしまうのです。

では、そのようなバイアスに抗うにはどうすればいいでしょうか。

一つは、即断しないことです。バイアスは印象なのですが、印象をそのまま決断につなげるのではなく「決断準備中」のものとして捉えることです。そのような空白期間を設けない限り、バイアスの影響をもろに受けることになります。

また、そうして設けた空白期間において、俯瞰の視点を上げてみることも大切です。自分の目に入る部分を意識的に広げてみる、あるいはその分布を遡って考えてみる。そのような知的作法が有効です。

この際に注意すべきなのは、「自分の結論を正当化することを主題にしない」という点です。人間の脳は極めて有能なので、結論を正当化しようと思えばいくらでもできてしまいます。正しくても、間違っていても、正しいように「仕立て上げる」ことができるのです。

そして、すでに最初の印象で「これは正しい」という感覚が立ち上がっています。「正しい」側にはそれ以上の支援は必要ありません。必要なのは、「間違っているかもしれない」側に、意識的な支援をしてあげることです。

そうした支援を惜しみなく行えば、印象がバイアスから解放されることはないものの(脳を改造しない限りは無理でしょう)、「何をどう考え、どんな決断を下すのか」については、バイアスの影響を緩和できます。理性にできる最大限の反抗です。

がんばって、抗っていきましょう。

Be a rebel.(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』より一部抜粋)

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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