「残業すれば何とかなる」という日本の悪癖。タスク処理を“目的化”しない仕事術

 

自分の「作業記録」からわかること

私は毎日作業記録をつけていて、朝一の挨拶&今日の予定設定と、夜の「一日の振り返り」が日課になっています。

しかし、プライベートで一週間ほどごたごたしていて、その巻き返しのために作業量を増やしていたとき、夜の一日の振り返りがスルーされている日が何日か出てきました。危険な兆候です。

「夜の一日の振り返り」がスルーされているという事実およびその記録(実際は記録の欠如)は、私の一日が「乱れている」ことを示してくれます。ここで絶対にやっていけないのは「もっと頑張って作業しよう」という決意です。しかし、そういうときに限って、そのような決意が生じやすいのです。

なぜならば、「巻き返しのために作業」しているときは、たいてい焦りを抱えているからです。たくさん作業をしても、まだ十分だという感じを得られない。だから、もっと作業をしようとしてしまう。非常によくある話ではないでしょうか。

しかし、もっとたくさん作業をしたところで、焦りは消えません。根本的な原因が、作業量の少なさではないからです。おそらくは、「今、自分が何をどんな位置づけの中で、何を目指しておこなっているか」が理解できていないことが一番の理由なのでしょう。朝一にリストを作り、その日の夜に振り返りをすることは、そうした感覚を醸成する効果がありました。

この感覚は、どれだけ目の前の作業をこなしたところで生まれてくることはありません。

ここでもやっぱり、「タスクをこなすこと」だけを考えていてはダメなのです。

何に注意を向けるのか

上長に言われたことをこなしていれば、定時に仕事が終わり、家に帰ったら仕事からは完全に解放される、という牧歌的な時代では、上のような悩みはほとんど起きなかったのでしょう。逆に言えば、こうした問題は非常に現代的であり、上の世代はあまりうまく相談に乗れないかもしれません。「君たちは、言われたことをこなしていればいいんだよ」などと考えている人は、相談相手として極めて不適切と言えるでしょう。

実際、現代は仕事において極めてややこしいことを考えなければならない時代になっています。極めて恵まれた環境にいる人以外はおおむねそうだと言ってよいでしょう。

だから、定期的に「タスクをこなすこと」以外のことに注意を向けていきたいものです。

(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』より一部抜粋)

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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