実際の中国側の反応については、はっきりとは知りませんが、習近平国家主席とその周辺、そして軍がシェアしている分析によると、「北朝鮮のミサイルの精度はまだ信頼性が低いと思われるが、射程距離は中国全土に及び、国家安全保障上の脅威にはなってきている」「核を持つことを良しとはせず、これ以上の拡大は絶対に阻止しなくてならない」「北朝鮮経済は実質的には破綻しており、生活苦が広がるなか、金王朝の基盤は崩れてきていると思われ、金正恩氏には統率能力はもうない」「北朝鮮の存在の可否は、中国のさじ加減次第」との内容があり、有事に備えた対北朝鮮即応プランが導入されたとのこと。
現在のデリケートな状況を崩し、レッドラインを超えたと判断されるのは、北朝鮮による核実験の実行がトリガーとなると考えられているようで、仮に実験強行の暁には、中国当局は北朝鮮を完全に切り離し(とはいえ、レッドチーム内には、名前だけ入れておくようですが)、中朝国境を閉鎖し、同時に対北朝鮮制裁強化の輪に加わることになるだろう、とのことでした。
つまり、最近のミサイル実験の連発は、中国に対するメッセージとしては、ポジティブにも、ネガティブにも捉えられており、中国自身も対応に苦慮しているようです。
さて、どう転ぶでしょうか?
さて、三つめのポイントは【国際社会で話題に上ることで、北朝鮮の影響力を対内的に示す狙い】です。
これは、情報が完全に統制されている中ではいくらでもできるかと考えますが、これが崩れる一方の金王朝への支持と服従の回復につながるかは不透明というよりは、期待薄でしょう。
ただ、日米韓の北朝鮮問題担当のトップが緊急会議を開催したり、G20の場で話題になりそうな状況になったりしているのは、北朝鮮問題を国際問題のテーブルに戻したという点では成功しているのかもしれません。
しかし、聞くことによると、その場で話されているのは、北朝鮮関連の情報共有の徹底という従来通りのアジェンダに加え、金王朝が崩壊し、北朝鮮が暴発した際の対応策についても触れられているとの情報があります。
日米韓の緊急会合に加え、ここに6か国協議の当事国で、一応は北朝鮮の後ろ盾と考えられている中ロが加わり、長年停止していた5か国での協議が再開されたとの“噂”も入ってきています。
そうだとすると、すでに北朝鮮は一線を越えてしまったと判断されているのかもしれません。
個人的は、すでに触れたとおり、北朝鮮が中国とロシアの制止を振り切り、核実験を強行した場合には、それは中ロが絶対に許さないと公言し、また北朝鮮にも再三伝えている内容だそうなので、北朝鮮の命運はついに尽きるのかもしれません。
そうなってしまうと、もう完全に空想の域を出ませんが、朝鮮半島を起点に、北東アジア、中央アジア、そして東南アジアにまで及ぶような、アジア地域全体の再編にまで発展するかもしれません。
今月に入ってからいろいろと話している方たちの話によると、「ここ数週間から2~3か月のあいだにどうなるかわかるだろう」とのことでした。
それが“これまでのようなギリギリの線で思いとどまる瀬戸際外交”なのか。それとも“地球上最後の全体主義独裁国家の終焉”なのか。
仮に前者であったとしても、もう今回は「またかよ!」という反応では済まされないような気がしてなりません。
不確定要素も多い中でのお話になってしまいました。
ところで、皆さんは今回の件についてどうお考えになりますか?
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image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト