中国とロシアが金正恩に激怒。ミサイル連射で一線を超えた北朝鮮の哀れな末路

 

一つ目は、文字通り「核による先制攻撃に対する抑止力の増大」を図ったというものです。

どの国が先制攻撃を行うのかは分かりませんが、仮に攻撃を察知した場合、多様な反撃策を有することを示したと思われます。

神出鬼没な列車による弾道ミサイル発射、本当に完成したかどうかは分かりませんが、実在すればほぼ発射後、レーダーでの捕捉は不可能で、かつ迎撃も不可能と言われる極超音速ミサイル、そして最近、チラ見せした潜水艦からの弾道ミサイル発射(SLBM)、さらには、国連安全保障理事会の決議により禁止されているICBMの存在は、攻撃国を無傷ではいさせない可能性を高めたと言えるでしょう。

クリントン政権時に一度は、真剣に北朝鮮への限定的な攻撃が計画され、ぎりぎりで回避されたということがありましたが、現在では、その時とは比べ物にならないほどの攻撃能力を備えていると言われており、仮にアメリカが北朝鮮を攻撃するようなことがあり、そして中国やロシアが反撃に参加しないとしても、アメリカとその同盟国(おそらく日本)は無傷のままではいられない可能性が高まったと言われています。

二つ目の理由は、【最近冷たくなった中国とロシアの出方を見極めたいとの願い】があると考えます。

第1回米朝首脳会談前には、中国を素通りして実施されたと認識されたことから、習近平国家主席の中国は、北朝鮮と距離を置く対応で答えました。

北朝鮮としては、韓国の行き過ぎた大ハッスルのおかげでアメリカ大統領(トランプ氏)との会談が実現するのですが、韓国に激怒し、そして北朝鮮には踏み絵を踏ませる行動を中国は取っています。

その踏み絵とは、中国国営航空(Air China)のB747を金正恩氏と北朝鮮代表団に使わせるとのオファーを、北朝鮮が受けるか否かという内容だったようです。

結果はご存じの通り、中国の国旗が付いた飛行機でシンガポール入りするのですが、機内での会話内容はもちろん、シンガポールでの一挙手一投足まで、すべて中国側が把握するという事態に発展しています。

その後も金正恩氏と北朝鮮は、中国に近寄ったかと思うと、突然離れるという混乱作戦に打って出ます。しかし、回を追うごとに中国側の反応は薄れ、どこか北朝鮮を突き放す姿勢を取り始めました。

それを決定的にしたのが、世界を恐怖に陥れ、現在も影響が続くコロナのパンデミックで、中朝国境が閉鎖されたことでしょう。

これにより物理的に人・カネ・物資・情報などの流れが停止し、それに並行してロシアも停止させたため、実質的に北朝鮮が孤立し、そして非常に分厚いベールに包まれて、国内で何が起きているのかが完全に隠れたことも、国際社会からの孤立を一気に加速させた要因と思われます。

しかし、この“決定”は北朝鮮経済と社会をさらなる苦行へと導き、それは金王朝の存続さえ危ぶまれるような緊張状態を生み出したと言われています。

その引き締めと、中国とロシアを振り向かせ、支援を引き出そうとして行ったのが、今回の一連の動きにある理由ではないかという分析も届いています。

勝手な想像に過ぎませんが、「助けてほしい。我々はもう暴発寸前だ。もし助けてくれないなら、破滅覚悟で最後の手段に出る。ミサイルの行方は、ミサイルにしかわからない。YesかNoか?」といったところでしょうか。

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