Xデーは2月21日?北京五輪閉会翌日に決まる「ウクライナ危機」の行方

 

そのうえで、整理しますと、以下のような分析を行い伝えました。

「まだ現時点では対ロシアのプレッシャーを弱めることはせず、可能な限り、軍事的な対峙も含めて、圧力をかけ続けるべきです。いろいろな分析から分かってきたのは、ロシア軍のプレゼンスは減っておらず、いつでも作戦を実行できるステータスが維持されていますが、準兄弟とも例えられる中国の北京で現在、オリンピックが開催中で、その成功に投資している習近平国家主席の顔に泥を塗ることになる、つまり国際的なattentionを取り上げてしまうようことになる軍事的作戦の遂行をプーチン露大統領が命令することはありません」

「ですが、北京冬季オリンピックが閉会した次の日、2月21日を機に、ウクライナ情勢に対するロシアの姿勢が見えてきます。ウクライナ侵攻に向けた動きが本格化し、もしかしたらロシア軍が国境を越えてウクライナに侵攻することもありますが、もしこの日にもまだロシア側が皆さんとの交渉のテーブルに就く姿勢を維持しているのであれば、まだまだ武力紛争に発展するという最悪の事態を避けるための交渉に、チャンスが与えられることになります」

「その際には軍事的な緊張がかなり高まっていることになりますが、こちら側から話し合い、つまり交渉のためのチャンネルを閉ざすことはしないでください。最悪の事態を防ぐための最後のチャンスであると覚悟し、プーチン露大統領との交渉機会を作るように働きかけましょう。その際には、緊張緩和のため、最悪の事態を回避するための最後の機会であることを強調して臨みますが、ぜひ解決のための選択肢を示してください。その際、繰り返しますが、絶対に調停人的なマインドセットにはまらないようにすることが大事です。あくまでも交渉相手という立場であることを言い聞かせてください」

「ロシア側に選択を迫るオプションですが、私は大きく分けて3つあると考えます。

1つ目は、【平和のためのパートナシップ形式】で、オーストリアのケースがこれにあたります。ウクライナはNATOとの枠組み合意を締結するにとどまり、NATOへの加盟はしないというものです。

このケースの場合は、オーストリアがそうであるように、NATO加盟国の軍はいかなる理由においてもウクライナ領内を通過・利用することは許されないことが確約され、それをロシアにも約束させることで、ウクライナを不可侵の中立ステータスに置くという落としどころと考えられます。いわゆる【緩衝地帯化する】提案です。

2つ目は、【ウクライナのNATO加盟を認めるかわりに、ウクライナ国内にNATOの軍事基地を設置しないという合意】です。

これは、東西ドイツが再統一された時に使われた2+4合意(東西ドイツ、米国、フランス、英国、ロシア)の方式が参考になります。

確か西ドイツは1955年にNATOに加盟していますが、1990年に西ドイツに東ドイツが加わって1つのドイツになった際に、旧東ドイツ側にはNATO軍基地を設置しないという合意がなされたと記憶しています。もし間違いであれば、引用は控えますが、ただ【加盟は許すが、基地は設置しない】という選択肢が有効であるのなら、それは日本の北方領土問題交渉の解決オプションとしても使えるかもしれません」

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