Xデーは2月21日?北京五輪閉会翌日に決まる「ウクライナ危機」の行方

 

「3つ目は、【ウクライナのNATO加盟問題を議論の対象から除外し、関係国間での合意内容は、合意に参加するすべての当事国の現状の保障および安全の保障を確約することを明示する】ということ内容です。

これはウクライナの不可侵と主権の保全の確保に貢献すると考えられますが、ロシア側がウクライナ領内におけるロシア系住民(主にウクライナ東部やクリミア半島)の権利の保護を交渉のテーブルに挙げてきた場合、NATO側のスタンスが一枚岩でない場合、ロシアの時間稼ぎになります。

またこれは同時に、ウクライナだけでなくジョージアの加盟の道を閉ざし、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やポーランド、ルーマニアなど、ロシアに隣接する国々からのNATO軍の撤退とミサイルなどの撤去という要求を、ロシア側が国家安全保障を脅かすものとの観点から主張した場合、それをNATOが受け入れられなければ、合意は成立しないと考えられます。

それぞれのオプションには様々なバージョンが考えられますが、大きく分けてお話しした3つの方向性が存在し、“最後”の交渉のテーブルに載せられているべきものかと考えます。

オプション(選択肢)はこちらが用意し、それをプーチン露大統領に選んでもらうというスタイルが適切かと思います。選択が決まったら、それをベースに詳細な内容を詰めるように導くことが出来れば、軍事的な衝突はlast minuteで回避でき、あとは交渉の役割になるでしょう」

このような提案をしてみました。実際の内容から諸々の詳細を省いていますので、要約になってしまいますが、概ねの感じは伝わりましたでしょうか?

最後に私から皆さんへの質問です。仮にこれらの3つの提案が交渉のテーブルに挙げられた場合、皆さんがプーチン露大統領の立場であればどれを選択しますか?

そして、これらの提案を受け取るリーダーの立場にいらっしゃったら、皆さんならばどうされるでしょうか?

次回号がお手元に届くまでには事態は急転しているかもしれませんが、もし間に合えば、ぜひ皆さんのご意見を窺えればうれしいです。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2022年2月18日号より一部抜粋。この続きをお読みになりたい方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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