国民民主“存亡の危機”も。何が玉木代表を危険な賭けに走らせたのか?

 

また、国民民主党が連立を望むからといって、自民党も、おいそれとは受け入れられないのではないか。無視できないのは、公明党の反発だ。

そもそも憲法改正や敵基地攻撃能力などをめぐり、自公には、はっきりと温度差がある。それを見透かしたかのごとく、連立に割って入る素振りをみせる国民民主党。その玉木代表と岸田首相がにこやかに肘タッチするシーンを、公明党の山口代表らは苦々しい思いで見ていたのではないだろうか。

このところ自公両党には厄介な問題が持ち上がっている。選挙協力の軸である相互推薦の話し合いがストップし、連立にひびが入っているのは以前の当メルマガにも書いたとおりだ。

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山口代表は「自公の連立政権の枠組みには影響を与えないことを岸田首相との間で確認した」と記者たちに語ったが、そんな発言をすること自体、自民と国民民主の接近への警戒感を示すものといえよう。

このところ、岸田内閣の支持率が急降下している。夏の参院選で与党が過半数割れして衆参ねじれが起きる可能性がないとはいえない。そうなると、自民党は日本維新の会や国民民主党との連立も視野に入れざるを得なくなる。

維新はそういうことも念頭に、公明党に替わりうる勢力として、国民民主との連携を模索していたフシがあった。文書交通滞在費の使途公開を可能とする法案を共同提出したのもその一つだ。ところが、両党の連携を進めていた前原氏が、予算案の賛否をめぐって玉木代表と対立してしまったのである。

維新の松井一郎代表(大阪市長)は「連立をめざしているんだなということがひしひしと伝わってきた。与党になるというなら、もう連携はできない」と玉木氏を批判し、参院選での自公との対決姿勢をアピールしてみせた。

維新は岸田政権とそりが合わないとしても、安倍元首相や菅前首相との親密な関係は変わらない。連立入りへの色気を持っているがゆえに、抜け駆けしたような玉木氏の行動が許せないのではないだろうか。

国民民主党の与党化で、ますます見通しがきかなくなったのが、参院選における野党共闘だ。32の「1人区」で統一候補が立てられるのかどうか。立憲民主と国民民主の候補者調整ができなければ、支持母体である連合の対応も難しくなる。

連合傘下の自動車総連、UAゼンセン、電力総連、電機連合出身の参院議員は国民民主党に、官公労出身議員は立憲民主党に所属している。改選を迎える国民民主党の現職議員のなかには、6年前に野党統一候補として当選した人も何人か含まれている。

連合には自民党に接近する動きもみられ、問題を複雑にしている。自動車総連傘下のトヨタ労組は昨年の衆院選愛知11区に現職の組織内候補を擁立せず、自民党候補に議席を明け渡した。

芳野会長が、国民民主党の玉木代表から予算案賛成について説明を聞いた直後、「予算案に反対していない」と、玉木氏に理解を示したような発言をし、メディアがざわついたのも、そういう経緯があるからだ。

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