たこ焼だけに非ず。コロナ直撃も新業態で業績UP「築地銀だこ」の底力

 

たこ焼、主食事業、酒場事業でグループ再編

今年に入り、ホットランドではグループ会社を再編。「築地銀だこ」の同社が中心となり、主食事業のホットランドネクステージ、酒場事業のオールウェイズをつくった。さらに、ファインインターナショナルという店舗設計や内装を事業とする会社をグループ化し、ここではこれからECサイトの運営をしていく計画だ。ここからは「日本再生酒場」のもつ煮込み、牛すじ煮込みや、この間育ったたこめしといった商品を販売していくという。

さて、酒場事業のオールウェイズでは早速斬新な動きを見せている。群馬県桐生市に「日本再生酒場 桐生編」をつくり、3月1日にプレオープンした。場所はJR桐生駅から徒歩10分、かつての繁華街で今日ではシャッター通りとなっている路面。地元の酒、地元の食材、地元の取引先など、地元にこだわった独自のメニューを提供していくという。

この3月にソフトオープンした「日本再生酒場 桐生編」(左端)。JR桐生駅から徒歩10分ほどで周辺はシャッター街だが存在感がある(ホットランド提供)

この3月にソフトオープンした「日本再生酒場 桐生編」(左端)。JR桐生駅から徒歩10分ほどで周辺はシャッター街だが存在感がある(ホットランド提供)

「日本再生酒場 桐生編」のソフトオープン初日3月1日に創業者の石井宏治氏が焼き台に立ち、いなせな雰囲気を醸し出していた(筆者撮影)

「日本再生酒場 桐生編」のソフトオープン初日3月1日に創業者の石井宏治氏が焼き台に立ち、いなせな雰囲気を醸し出していた(筆者撮影)

同店の家賃は数万円で、都心の飲食店街のそれと比べると著しく低く損益分岐点が抑えられる。このようなことから、オールウェイズでは人口10万人の桐生市と匹敵するような地方都市で「日本再生酒場」を展開していくことを想定している。

「日本再生酒場 桐生編」はシャッター街にあっても繁盛店となっていて、人口10万人の桐生市と似た地方都市での展開を想定している(ホットランド提供)

「日本再生酒場 桐生編」はシャッター街にあっても繁盛店となっていて、人口10万人の桐生市と似た地方都市での展開を想定している(ホットランド提供)

ホットランドグループは「築地銀だこ」で成長し主力業態となった。このターゲットはファミリーで、テイクアウトが主軸となる強い業態である。これがコロナ禍によって冷凍たこ焼の販路をつくり、郊外ロードサイド立地での可能性を引き出した。

そして「野郎めし」によって“ガッツリ系”を引き寄せ主食事業の活路を見出した。酒場事業では「日本再生酒場」が加わることで事業内容を深化させるようになった。

代表の佐瀬氏は「何が起こっても大丈夫な会社を目指した」と述べていたが、ホットランドグループにとってコロナ禍は、より一層強い体質をつくり上げる大きなきっかけとなったようだ。

image by: 千葉哲幸

協力:㈱カロスエンターテイメント 

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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