ホンマでっか池田教授が指摘。政府やマスコミに利用される「専門家」への違和感

 

新型コロナの感染に関して言えば、いわゆる専門家の多くは、最初はマスクは有効ではないと言っていた。そのうち不織布のマスクを顔にぴったりつければ有効だという話になったが、マスクは有効でないという発言は間違っていました、とはっきり釈明した専門家は寡聞にして知らない。今また、マスクをしていてもしていなくても、感染確率はさして違わないという話になりつつある。専門家と雖も、実際に検証している人はほとんどいないので、実はよく分からないのである。

感染経路も、最初の頃は飛沫感染と接触感染が主で、空気感染はないと言っており、2メートル離れれば、飛沫感染を防げるので、なるべく人と距離を取ることを推奨していた。あるいは、接触感染を防ぐために、アルコール消毒を徹底し、素手でドアノブなどを触らないように指導していた。しかし、現在は接触感染する確率はごく小さいことが分かってきた。スーパーに出入りするたびに、アルコール消毒をするのは皮膚が弱い人にとってはデメリットの方が大きいが、そういう話はあまり報道されないようだ。

オミクロン株は空気感染をするので、部屋の換気をよくするのが感染を防ぐ王道で、部屋の中にアクリル板を立てても、余りメリットはなく、林立させればかえって換気を妨げるので、むしろ外した方がいいと思えるが、そういう話も聞こえてこない。テレビ局の収録などでは今でもアクリル板が林立している。

専門家の意見に従ったと称して、システムが立ち上がってしまうと、修正するのが難しくなり、エビデンスが変わっても、有害だったり無益だったりするやり方が続くことになる。この場合でも、専門家は修正意見を言わないか、発言してもマスコミは報道しないことの方が多い。要するに、専門家の意見は、マスコミや時の政権の意向を反映するべく、つまみ食いされるだけのことが多いのだ。

エビデンスがひっくり返ったのに、一度立ち上がったシステムが崩壊しなかった最悪のケースは、あちこちに書いたことがあるが、ダイオキシンに関するものだ。1999年の2月、テレビ朝日の「ニュースステーション」が所沢産のホウレンソウから高濃度のダイオキシンか検出されたと報じて、所沢の野菜の不買運動が起き、所沢の農家が大損害を被ったという事件だ。

総合環境研究所の青山貞一という人が、所沢のホウレンソウのダイオキシン濃度は極端に高いと証言して、ダイオキシンは危険だという話になり、1999年の7月にいわゆるダイオキシン法が設置され、ダイオキシンを減らすと称して、ハイテクの高級焼却炉を設置して、野外や簡易な焼却炉でのゴミの焼却は禁止となった。その後、所沢の高濃度ホウレンソウもウソならば、焚火や簡易焼却炉で人体に有害なほどダイオキシンが出るという話もウソだとわかったが、ダイオキシン法は廃止されることはなかった。

「ホンマでっか!? TV」でおなじみの池田教授が社会を斬るメルマガ詳細・登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • ホンマでっか池田教授が指摘。政府やマスコミに利用される「専門家」への違和感
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け