なぜ、仮に物価が5%上がっても年金はそこまで上がることがないのか

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さて、20歳から60歳前月まで完璧に国民年金保険料を納めたらいくらの年金になるのかというと、令和4年度満額は777,800円です。

基礎年金の額は昭和60年改正の時に高齢者の生活費を総合的に勘案して60万円と決められましたが、それ以降の物価の変動を繰り返しながら現在の777,800円となっています。

この金額は前年の物価や賃金の変動で毎年金額が変動します。基本的には公的年金は物価や賃金の伸びで金額が変動します。

今年はロシアのウクライナ侵略のせいで世界的な物価の高騰になっているため、生活を直撃しています。

物価に変動するのであれば早く年金も変動してほしい!と思ってしまうかもしれませんが、前年の物価や賃金の変動率を用いて翌年度の年金を変更するので今すぐ反映しない事になります。

来年発表される今年の変動分はどのくらいになるかはわかりませんが(毎年1月下旬に発表)、今年の物価や賃金が反映されるのは翌年度の年金からとなります。

じゃあ、今年の物価が5%くらい上がったなら翌年度の年金は5%上がるのかというと、平成16年度改正以降の年金制度はそのような単純なものではなくなりました。

どういう事かというと、物価が5%上がったからって必ずしも5%年金が上がるわけではないという事です。

この辺の話はまた長くなるので簡潔に話しますが、例えば物価が5%上がっても、年金は4%くらいしか上がらない場合もあるという事です。

物価と同じ率の年金が増えるのであれば、生活水準レベルは保たれます。

しかし、物価より年金の伸びが小さいと生活水準は苦しくなります。

どうして本来の物価の伸びよりも小さい率しか年金に反映しないような事が起こるのかというと、現在も少子高齢化が進行中だからです。

例えば高齢化率は現在はほぼ30%ですが、2060年あたりには40%くらいになる事が見込まれています。
これからもまだまだ高齢者率が高まり続けます。

40%あたりが上限になりそれ以上高くならなくなるのは、高齢者が増えてくると同時に死亡率も高くなっていくからです。

さらに、少子化を表す合計特殊出生率も今は1.3くらいですよね(最低は平成17年1.26)。

出生率は2.0を下回ると人口が減っていきますが、出生率が2.0を下回ったのは今から47年前の昭和50年です。
高齢化率が問題になり始めたのが今から52年前の昭和45年。もう長い事、少子化や高齢化の問題が付きまとってきてるわけですね。

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