中国の過酷な受験戦争。なぜ「高考」が人生の成否を左右するのか?

 

なぜ「高考」が人生の成否を左右すると言われるのか?中国社会では、職業的平等や価値観の多様性といった意識がまだ全然浸透していない。ある程度の科挙時代の意識はまだ残っていないではないか。

ある調査結果によると、将来の夢について、中国の子どもたちに人気の職業は、教師、医師、警察官、軍人などの伝統的なエリート職業が全体の半数以上を占め、また芸術、スポーツ、美容、技術・イノベーション職業を希望する割合が高く(合計33.3%)、時代の流れに呼応している。これは、長い間、単一の価値観、単一のイデオロギー教育が行われてきた結果である。

1990年代後半から、「高考」の欠点があるために、「高考」廃止論が折に触れて出てきたが、その声は大きくなかったし、世論の主流でもなかった。また、試験制度そのものに問題があるのではなく、試験のシラバスの内容に問題があるとの主張もある。

例えば近年人文・科学・芸術の内容は増え、数学の内容は減り、農村地域の子供たちがよい成績を得る余地はないのである。中国の教育資源は不均衡であり、農村地域の学校では、学生は単一の教科を教えられており、より多くの課外知識を得ることができない場合がある。

中国の大学進学率は現在90%近くに達していると言われる。80年代、大学進学率が20%であった。1999年以降、進学率は50%を超え、2011年、70%を超え、2018年、中国の大学受験者数は975万人、大学への入学者数は790万9,900人、大学進学率は81%以上。2019年、中国の大学受験者数は1,031万人、大学受験の入学者規模は920万人となる。

大学進学率がだんだん上がっているのに、受験生のプレッシャーは全然減っていない。やはり、誰もが名門大学に入りたいと願い、名門大学への競争は激しくなっている。「高考」は、一人の受験生が望むことだけではなく、家庭にも巻き込まれる。また、学校の先生の評価につながる。

科挙制度と同様、大学受験の結果が将来の地位を決めるという認識は、学生・親にとって大きな心理的プレッシャーとなる。「高考」制度の存在により、学生は受験勉強に専念することを余儀なくされている。

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入試制度そのものは最終的に総得点で決まるのだが、日常の中では、特定の科目では非常に優れた才能を持ちながら、一部の科目では得意ではない生徒がたくさんいて、入試の総得点を計算すると「不公平」な状況にあることがわかる。その結果、大学で学ぶことができず、自身の才能を開花させることができなくなる。

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