岸田首相の大誤算。「統一教会に国を売った政治家」の“国葬”が総理の首を締める

 

難しい臨時国会の開き方

そういう訳で、政局は当面、統一教会問題を軸に動く。萩生田光一=自民党政調会長のように、しらばっくれてやり過ごそうと思っていたのが、ズブズブの関係であることが次々に明るみに出て弁解に追われるといったケースがいくつも出てきて、中には役職を辞任しなければならない場合も出てくるだろう。それを見ながら、すでに連日のように国会周辺で行われている「国葬反対」のデモは膨れ上がり、15年安保法制の時の様相を呈し始めている。呼びかけ人は鎌田慧、澤地久枝、佐高信などで集まってくるのは団塊世代の中高年中心。15年と同じ構図になりつつある。9月27日国葬は、もはや全国民が肅然として喪に服すということにならないのは確定的であるけれども、さらに世情騒然となって岸田政権を揺るがすようなことになるかどうかは、これからの展開による。

野党は8月中にも臨時国会を開くか閉会中審査を行なって国葬問題を国民の前で堂々と議論しようと求めていて、もちろん自民党は逃げたいのだが、世論の動向やマスコミの追及次第で逃げ切れるのかどうか。それとの絡みで、秋の臨時国会はいずれにせよ遅くとも10月には開き、そこで「安倍追悼演説」をやらなければならないが、一旦、甘利明=元幹事長を指名しようとして猛反発を受けてすぐに撤回するという失態の後では間の抜けた儀式になってしまう。そういうだらしない状況で岸田政権は10月14日、発足1周年を迎える。

他方、国葬の翌々日、29日は日中国交正常化50周年という大きな節目を迎える。政府は秋葉剛男国家安全保障局長を17日に訪中させ、楊潔篪中共政治局員との長時間の会談を通じて関係打開の糸口を探ろうとしているが、米国が煽り立てる「台湾危機」に日本が唯々諾々と従っている有様では、大きな進展は望めまい。むしろ年末に向け日本が「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の3文書の新版を策定し、そこで米日共同で中国と軍事的対決を辞さない姿勢とそのための防衛費の大幅増を打ち出そうとしていることが、対中関係でも致命的な障害となるだろう。

従って外交面でも何か目覚ましい成果を得る可能性は見当たらない。9月11日は沖縄県知事選があり、これもオール沖縄を背にした玉城デニー知事が再選を果たす公算大で、岸田には打撃となる。

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