中国は拒否か。ロシアの諜報機関が探し始めたプーチンの「亡命先」

 

それと、イラン製のシャヘド136UAVが3週間ぶりに登場した。1つにロシアが在庫を撃ち尽くし、最近補充されたか、寒冷地対応をされて、使えるようになったかである。

12月6日、ウ軍は14機のシャヘド136を含む17機のUAVを撃墜したとしたが、脅威である。そして、短距離弾道ミサイル・イスカンデルのほとんどを、使い果たので、弾道ミサイルの攻撃はない。このため、イランからの弾道ミサイルが欲しいようである。イランの希望であるSu-35を渡してもミサイルを手に入れるようである。

それと、ロシアは、経済制裁後も弾道ミサイルの生産はできないが巡航ミサイルを生産しているようであり、その半導体を3国経由で手に入れているようだ。

ウ軍も155mm砲弾が不足してきたが、スロバキア、ポーランド、ウクライナで大量生産して、前線に届ける仕組みを作り、戦車の損耗に対しては、米国はドイツにレオパルド2戦車のウ軍への供与を要請した。というように、どんどん、兵器をウ軍は手に入れることになるが、ロ軍は、砲弾を自国で生産する必要がある。

それに必要な資金であるが、原油の60ドルという上限価格が決められて、資金の手当も制限されることになる。その上に、トルコは、ボスポラス海峡を保険なしのタンカーに通過を認めないとした。ロシアのタンカーは英国の制裁で船舶保険を取得できない。よって、ボスポラス海峡を通過できないことになる。

しかし、一番問題なのが、軍務に従事した後、有名ロ軍事ブロガーのイゴール・ガーキンは、「ロ軍には最終的な戦略目標がないことと、兵士や将校は『何の為に戦っているのか、何が勝利の条件なのか』を理解していない」との感想を述べている。唯々、惰性で戦争を続けているだけであり、士気も上がらないとした。ロ軍の問題点であり、侵略戦争の問題点でもある。

ロシアの侵略戦争に反対しているインドのモディ首相も 、2000年以来毎年開催していたプーチンとの首脳会談を見送りにした。

というように、ロシアの孤立化、存在の希薄化に直面しているようである。カザフのように、プーチンに反旗をひるがえす国も出てきた。このため、イラン、北朝鮮、ベラルーシなどの3流国が、頼りである。

もう1つ、プーチンの亡命先をFSBは探し始めている。当初、中国を指名したが、中国の反対なのでかアルゼンチンなど南米になるようである。ロシア敗戦時の対応もFSBは検討し始めているし、米国とも協議している可能性がある。

一方、中国は原油決済をドルから奪い、人民元にする方向で米国の覇権を崩し、戦闘機という大きな武器市場を米国は捨て、日英伊などに明け渡し、ロシアも存在感がなくなり、大きな世界秩序の激変期になっている。英国も米国の衰退を見て、日英同盟に復帰しているし、ドイツは米国の衰退を見て、中国によっている。

このため、米国の最大の敵は、中国であり、ロシアではない。米ロは、そのため、ロシア崩壊を望んでいない。ウクライナとは違うスタンスにあるが、米国は、ウクライナのロシア国内攻撃を止めることもできない。このように、ややこしい時代になっている。

ルービニ氏の言うように、「メガ脅威の時代」で、1914年から1945年までの時代と同じようになっていると見える。戦争の時代ともいえる。それも敵味方がグチャグチャになってきている。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2022年12月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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