財源に不景気の元凶「消費増税」を持ち出す自民・甘利明元幹事長の浅はか

 

ともあれ、少子化対策の予算をつけ、出生数を増やし、この国の衰退を食いとめる必要性については、誰も異存はないであろう。国であれ、都であれ、行政が取り組むべき最重要課題の一つである。

ただ残念ながら、少子化対策の掛け声がむなしく聞こえるほどに、これまで政府は無策であり続けた。なるほど会議体や組織はいくつも作られ、議論も活発になされてきたが、政治の動きが鈍いため、予算がつかないのだ。

経済協力開発機構(OECD)によると、子育て支援などに充てられる日本の「家族関係社会支出」は、2019年時点でGDP比1.7%にすぎない。少子化対策がうまくいっているスウェーデンやフランスは3%をキープしており、OECD加盟国の平均が2%をこえることからみても、いかに日本が立ち遅れているかがわかる。

「日本は子どもに冷たい社会です」。手厳しく歴代政府を批判するのは、明石市長の泉房穂氏である。岸田首相の「異次元の少子化対策」発言のあと、ツイッターにこう投稿した。

かねてから「子ども予算のグローバルスタンダード化」(諸外国の半分程度の予算額を諸外国並みに)を訴え続けている立場からすると、異次元でなく普通でいいので、すぐに予算倍増を実行していただきたいとの思い。

泉市長は2011年に明石市長になり、子ども政策を柱に市政を進めてきた。その成果として、いま明石市では、子どもの医療費、第2子以降の保育料、中学校の給食費が無料であり、プール、博物館など公共施設も無料で利用できる。また、おむつやミルクなどの子育て用品を毎月届けて0歳児を見守る「おむつ定期便」も行われている。

この手厚い子ども政策は、子育て世帯の移住を呼び込み、同市は9年連続で人口が増加、過去最高人口を更新し続けている。出生率もみるみる上昇、21年度は1.65で、日本全体の1.30を大きく引き離している。

その結果、地域経済が活性化していると泉氏は言う。

「子育て世帯は明石に住めば金がかからない。せこい所得制限もない。だから、『今日はちょっとええもん食べよう』と若い家族がみんな駅前で飯を食い始め、レストランの新店ラッシュですわ。子育て層の負担を軽減したら、貯金に回るんじゃなく、地域で子どものために金を落として、経済が回り出す」(2022年7月6日、東洋経済オンラインより)

明石市では、泉氏が市長に就任する前に126億円だった子ども予算が昨年度は258億円に倍増され、税収が8年前に比べ32億円増加している。組織や会議体をいくら作るよりも、一人のリーダーがいれば、少子化対策はこれだけ進み、それが地域経済の活性化にもつながることを示してくれたのが泉市長だ。

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