そもそも寺の税金は優遇されている
そもそも寺の税金とはどうなっているのでしょうか?寺の税金というのは、ちょっと複雑な形態になっています。寺というのは、ほとんどが宗教法人という組織になっています。
そして原則として寺(宗教法人)の宗教活動には、税金はかかりません。法事に行ってお布施をもらっても、そのお布施自体には税金はかからないのです。
しかし、寺の住職というのは、その寺(宗教法人)から雇用され、給料をもらっているという形になっています。そのため、その給料については、税金がかかるのです。つまりは、寺の住職は、税務上はサラリーマンに過ぎないのです。
住職は寺の収入の中から、毎月、決まった額を給料としてもらうことになっています。その給料には、当然、税金がかかり、寺は、会社と同じように住職の給料から税金を天引きして、税務署に納めなければならないのです。
しかし寺の多くは、住職が「経営者」となっており、会計などは住職の意のままです。
寺の会計報告や申告書などは、税務署に提出しなくていいのでしょうか?
本来、宗教法人は、その事業年度の収支計算書を原則として、事業年度終了の日から4ヶ月以内に所轄の税務署長に提出しなければなりません。が、年間収入8,000万円以下の小規模な法人などについては、収支計算書の提出を要しないこととしています。
そして、この8,000万円の基準値は、事業年度毎に計算した基本財産などの運用益、会費、寄付金、事業収入などの収入の合計額によるものとされ、土地建物などの資産の売却による臨時的に発生する収入は、8,000万円の判定に含めないことされています。
つまりは、普通の年間収入が、8,000万円を超えなければ、申告書を出す必要はないのです。寺などの小さな宗教法人は、この8,000万円ルールに守られ、申告も収支計算書の提出も不要とされているのです。
寺の会計などは、一応、檀家などがチェックすることになっていたりはしますが、それも形式的なものです。だから、住職が寺のお布施の一部を抜いても、誰にも気づかれないし、とがめられることはありません。それは当然、脱税となるのです。
なぜ小さな寺の住職がベンツに乗っているのか?
辺鄙な寺の住職が、ベンツなどの高級車に乗っているのを見たことがないでしょうか?よくテレビ番組などでも、地方の古い寺の住職がありがたい話を聞かせた後、高級車で芸能人をどこかに案内する様子が出てきたりします。そういうのを見て、違和感を感じた人も多いでしょう。なぜ寺の住職が高級車に乗ることができるのか、と。
そこには宗教法人特有の経済システムがあるのです。そもそも寺の住職は、経済的に非常に恵まれています。住職の住居は寺の中にあるので、住居費はほとんどかかりません。普通の民間企業であれば、会社から住居を提供されれば、その住居費は給料と同じ扱いをされ課税されます。しかし、住職の場合、「そこに住むのも宗教活動の一環」とみなされ、非課税とされているのです。
そして、もし住居に不具合があれば、寺のお金で修繕したりできます。家具などの調度品も、寺の金から出すことができます。日々の生活でも、光熱費などは、お寺と同じ建物なので、相当部分は寺の金で出しているものと思われます。
食べ物も檀家からもらったりするものもけっこう多いので、普通の人よりは食費は安いはずです。
また車なども、住職が乗っている車のほとんどは寺の金で買ったものです。ベンツなどの高級車も、実は寺の金で買ったものであり、住職は一銭も払っていないのです。つまり、住職の生活は大半は、寺のお金で賄っているのです。
そして、寺というのは、けっこう収入が多いものなのです。信心深い檀家ではないごく「普通の家」でも、年に数回は法事などをします。一回あたりだいたい5,000円以上のお布施がもらえます。一つの檀家から年間数万円の収入を得ることができるのです。檀家が200人もいれば、定期的な法事だけで、300~400万円の収入が得られます。
しかも、お葬式という臨時収入もあります。葬式のお布施や戒名などは、普段のお布施よりも一、二桁違ってきます。それらの収入を合わせれば、檀家が200人もいれば十分にやっていけるのです。地方の辺鄙な寺の住職が、ベンツに乗っていたりするのは、このためなのです。
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