それよりも、一番大きなテーマのもとで考え、関係あるならば下位項目のどこかに位置づける(≒関係づける)という運用がよいでしょう。網羅性を目指すのではなく、一番広くひっかかるポイントを列挙することを目指すわけです。
逆に言えば、12個という数に限定するために、「自分にとって一番大きなテーマ(一番引っかかっていること)は何か?」という観点でテーマ群を検査することになります。ここに不思議なポイントがあるのです。
たとえば、企画案が20個も30個も並んでいると、どれもこれもが面白そうに思えます。順位づけなど不可能に感じられます。しかし、疑問文が並んでいるなら違うのです。
- 僕らの生存戦略とは何か?
- 現代を生きる僕たちが知っておきたいことは何か?
この2つを見比べたとき、明らかに自分の中で後者の方がより根源的だと、より切実に知りたいと感じているとはっきり知覚できます。企画案の状態で保存していたときにはできなかった順位づけがこの形では可能になっています。
さらにです。『僕らの生存戦略」という企画案は一つの独立した存在です。ある種のオブジェクトと言ってよいでしょう。それ自身はそれ以上の変化を拒んでいるようなところがあります。しかし、「僕らの生存戦略とは何か?」という疑問文なら話はかわります。その疑問文はいくらでも書き換えたり、上位や下位に位置づけたりできます。変化させやすい状態なのです。
その意味で──少なくとも倉下の情報整理においては──、テーマのような大きなものはまず疑問形で保存しておき、その内部に関連する企画案などを置いておくのが良さそうだ、と感じています。しかし、よくよく考えてみれば私の本の企画案などはだいたい何かしらの疑問から生まれているはずなのに、「疑問形」で保存することなどこれまでまったく考えていませんでした。
この辺も、「ちまたの情報整理によくある束縛」なのかもしれません。それもまた検討してみたい課題です。とりあえず、「なぜ私たちは自分に合わせた情報整理システムを作れないのか?」で保存しておきましょう。
(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2023年4月24日号より一部抜粋)
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