「対話」の重要性。ChatGPTの誕生がプラトン哲学を復活させる

 

2.大学入試と受験勉強が変わる

大学教育もChatGPTの登場により、変化していくはずです。最近のニュースでは、司法試験や医師国家試験の筆記試験も、ChatGPTの解答で合格レベルに達しているそうです。大学の学位論文でも、ChatGPTを禁止すべきか否かについて議論が進んでいます。

かつて、電卓が登場した時、算数の宿題に電卓を使ってはいけないとか、電卓を使って問題を解いてはいけないと言われました。しかし、電卓で簡単に解けるような単純な計算問題は次第に少なくなり、応用問題が増えてきたように感じます。

同様に、ChatGPTの登場により、暗記すれば解けるという問題は減って、自分の頭で考える問題が増えると考えられます。

また、ChatGPTを使うことにより、今まで不可能だった入学試験ができるようになるかもしれません。例えば、ChatGPTと対話しながら、様々な分野の知識や考え方が採点できるのであれば、暗記中心の受験勉強ではなく、幅広い知識、優れた人格形成、社会性の理解等が受験勉強になるかもしれません。

ChatGPTが進化した時代も、長文の読解力が求められるので、課題図書を数十冊指定し、その中から質疑応答を行うことも考えられるでしょう。

このようにChatGPTを活用することにより、受験が変われば、受験勉強も変わり、高校、中学の授業も変わるでしょう。

3.対話を主とした動的な知性

もちろん、大学の講義も変わらなければなりません。教授が一方的に自分の考えを押しつけるのではなく、学生の力を引き出すコーチングのようなスタイルも重要になります

また、教授自身がChatGPTを活用して、時代に対応した事例を交えた講義をすることもできるようになります。

大学での学びには、知的深化や批判的思考力、学問的アプローチなどの、独学だけでは得られにくい価値があるとされます。しかし、これらは講義型の授業で身につけるのは困難です。しかし、プラトンのように対話を軸とした授業にすることで解決できるかもしれません。

例えば、テーマを決めた上で、教授と学生、学生同士で対話を行います。それらの対話は全て記録され、ChatGPTがテキスト化します。そこから各自の問題意識や思考を分析し、採点できるでしょう。また、ChatGPTが編集して、一度の対話で一冊の書籍にまとめることも可能でしょう。

学生単位で発言内容をまとめることも可能です。それをフィードバックし、他の人々との対話と比較することで、更に思考は深まります。

こうなると、対話内容をChatGPTに論文として編集してもらえば良いのではないでしょうか。その代わり、全て自分で書いた論文1本と、対話の論文10本を同様に評価するというようなルールを定める必要が生じるかもしれません。

ChatGPTは長文の要約を作成することもできるので、批評や採点の案をChatGPTが作成し、それを教授が認めることもできます。

ChatGPT活用の対話型の授業を行うことで、大学の存在意義は高まることでしょう。

 

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「対話」の重要性。ChatGPTの誕生がプラトン哲学を復活させる
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け