マイナンバーカード問題で判明。Google日本元社長が嘆く“一線を超えた”日本の大崩壊

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河野太郎を厳しい立場に置いておきたい岸田

このような混乱を引き起こしている理由は、主に以下の五つに整理されるでしょう。

一つ目は、前述の繰り返しですが、マイナンバーやマイナンバーカードの導入によって何を実現しようとしているかについて、政府から国民への説明が不十分ということです。

最も疑念を持たれているのは、政府や財務省が、国民の資産状況等の個人情報を集めて、課税強化などに都合よく利用しようとしているのではないかという点なので、個人データの利用について、政府側を規制する法律や、第三者機関による監視などの仕組み作りが必要です。

二つ目は、担当大臣である河野大臣の進め方があまりにも強引で性急過ぎるということです。特にマイナ保険証については、昨年6月の段階では、従来の保険証とマイナ保険証の選択制を打ち出していましたが、従来の保険証を廃止してマイナ保険証で一本化する、という乱暴なやり方は、河野大臣が担当になってから打ち出されたものです。

突破力を売りにしているようですが、「ブロック太郎」の呼び名が示す通り、ワクチン担当大臣の時にも問題になった「聞く耳を持たずに無理難題を強引に推し進め、反対されるとやたらと切れまくる強行突破スタイル」に批判が集まっています。

三つ目は、その河野大臣を監督する立場であり任命権者でもある岸田首相のリーダーシップの欠如です。これだけの混乱が広がっているにも関わらず、本件に関しては河野大臣のやり方を容認するばかりで、岸田首相の存在感がまったくありません。本来なら、首相の権限で進め方を見直したり、それに伴う大臣の更迭などがあってもいい状況ですが、「我関せず」という印象です。

おそらく、岸田首相は個々の政策にはまったく関心がなく、気にしているのは、解散時期を含めた政権の維持だけなのでしょう。ライバルの一人でもある河野大臣を、厳しい立場に立たせて追い込んでおけば、政局的にも有利、という判断が働いているのだと思います。そうだとすれば、自己都合が最優先で国民そっちのけの政治と言わざるを得ません。

四つ目は、野党第一党の立憲民主党のだらしなさです。マイナンバーに限らず、入管法改定案* 、原発の運転期間延長法案、防衛財源確保法案など、今国会では、本来なら与野党の激突になるような重要法案審議が目白押しです。

頑張っている議員も少なからずいるものの、党として徹底抗戦しているようにはとても見えません。表向きは各法案の問題を指摘して闘っているように見えますが、結局国会の審議日程では与党の言いなりで、結果的には法案成立に協力しています。政権与党に本気で対決姿勢を示さない野党第一党に存在価値はありません。

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