従来のマーケティング手法は古い。今やるべき顧客インサイトの発掘・活用法

 

顧客インサイトの探り方:3つのステップ

顧客の心理や行動が、マーケティング活動に大きな影響を与えるため、ここのところ重要視されています。

しかし、年齢や地域と違い、インサイトと呼ばれる顧客の心理や行動は、目に見えないため、探り出しにくいことも事実です。

今号ではまず、どのようなことをして、この顧客インサイトを探り出すか、を考えていきます。

まずは、消費者の生活習慣の理解が挙げられます。年齢や性別だけでなく、消費者の趣味、価値観、ライフスタイルを理解したいところです。

自社が発信しているSNSの投稿やレビューサイトの意見、オンラインイベントやフォーラムの会話から、顧客や未顧客のふだんからの行動や傾向を探り、その生活スタイルを理解することが重要です。

マーケットリサーチも有効です。まずは年齢や性別、職業のセグメントでターゲット層を決め、その層にオンライン調査や、フォーカスグループでの深層インタビューなどを実施し、ターゲット層のニーズや欲求を、観察してみるのです。

特に、ターゲット層が欲しそうな、商品やサービスの使用経験について、それらが生活にどのような影響を与えるかを、どう使われているか、を探求します。

数字などのデータ分析も有効です。既存顧客の購買データや、Webサイトのユーザー行動データを分析することで、まずは既存顧客・ユーザーの行動パターンや嗜好を把握します。

ここから、ターゲット層がどのような、そしてどのように商品を購入し、どのようなコンテンツに反応するか、を洞察することができます。

もう1つ、エンパシーマップの利用を紹介します。

エンパシーマップとは、顧客の感情や思考、行動、疑問点などを、「見える化」する手法のことです。

このエンパシーマッピングは、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインや、ビジネス戦略を専門とするデザイン会社の、XPLANEの創設者である、Dave Grayによって考案されました。

開発されて以降、ユーザーまたは顧客の、思考や感情、行動、痛み、欲求を理解し、視覚化するための一般的なツールとして、UXデザイナーや製品開発チーム、マーケターだけでなく、ビジネスリーダーやエンタープライズ組織にも、広く利用されています。

エンパシーマッピングは、特定のユーザー群または顧客セグメントの視点から製品やサービスを見ることを可能にし、より効果的なビジネス戦略を策定するための深い洞察を提供します

以下のようなステップでやってみるといいでしょう。

1.セグメントの選択

まず、エンパシーマッピングの対象となる、顧客セグメントやユーザーグループを選びます。いわゆるペルソナです。

2.エンパシーマップの作成

このペルソナのイラストや写真を中央に置き、その周囲に、「思考」「感じていること」「聞いていること」「見ていること」の、4つのセクションを置きます。

「ふだん行っていること」や、「面倒・苦痛に思っていること」「ニーズ」などのセクションを追加することもあります。

3.情報の収集

その顧客セグメントやユーザーグループが、何を思えてしているか、何を感じているか、何を見ているか、何を聞いているかについて、既存の調査データやインタビューの結果などから、情報を収集します。

4.情報の記入

収集した情報をそれぞれのセクションに記入します。ここではできる限り具体的に、事例や言葉のフレーズを入れ込みます。

5.洞察の発見

マップが完成したら、それを見てどのような洞察が得られるかを考えます。このときに、顧客が感じる苦痛や面倒さ、欲求や得る利益、感情、行動のパターンなど、心理的なことを基準にするといいでしょう。

カスタマージャーニーが、顧客のニーズ発見から購買までの、心の動きをマッピングするものだとしたら、このエンパシーマッピングは、その前段階で、顧客がどんなニーズをもっているか、どんなことを取り除きたいか、ふだん、何を大事に思っているのかを、探り出すツールと言えます。

マーケティングチームが、ユーザーの立場に立って思えることを助け、製品開発やサービス改善のための、新たな視点を提供する有効なツールです。

 

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